月よお前が悪いから…のアーカイブ

http://d.hatena.ne.jp/artane/ がサーバの関係で消えるようなので、アーカイブします。基本更新しません。

イングーシ共和国の学校で籠城、スペツナズ強行突入で死傷者多数

 用事疲れで寝ていて日が変わってしまいましたが、本当に書きたかったのはこの話題です*1
 この事件、色々と情報や論説が飛び交っていますが、事件の背景に本当にロシア軍のチェチェン侵攻がからんでるなら、立てこもった*2ゲリラの行為を「テロ」と非難するのは筋違いでしょう。
 例えば、日経の社説:

社説1 許し難いロシアの学校標的テロ(9/4)

 ロシア南部・北オセチア共和国の学校での人質事件は最悪の結果を迎えた。多数の児童が犠牲になってしまった。卑劣なテロを許すことはできない。

 ロシア当局の説明によると、犯人側との合意で、1日の占拠の際に死亡した人たちの遺体を回収するために当局側の兵士らが学校に近づいた際、武装勢力側が発砲し、地獄絵が出現した。

 学校制圧の様子は、テレビ映像を通して同時進行で全世界に報道された。裸にされたまま、おびえて逃げる子供らの姿は衝撃的だ。血まみれの人の姿も見えた。

 倒れた兵士が救急車で運び出され、建物の一部は爆発で黒こげとなった。目を覆いたくなる悲惨な光景が、テロの残酷さを全世界の人々の心に刻みつけた。

 武装勢力の言い分がどうであれ、国際社会はこのテロを許さない。

 ロシア当局によると、犯人グループは30人くらいとみられ、当局は20人の遺体を確認した。そのうち10人はアラブ人だという。当局はチェチェン武装勢力が外国のアラブ人の協力を得て実行した犯行であるとみている。

 テロリストたちは先月末から航空機2機の爆破、モスクワ地下鉄駅付近での自爆と相次いでテロ攻撃をしかけてきたが、テロは1990年代半ばから続いている。

 今回の事件にプーチン政権は大きな衝撃を受けている。プーチン大統領は2002年10月のモスクワの劇場を舞台にした人質事件の際、強行突破を指示し、人質約130人が死亡した。ロシアでは、テロに屈しない姿勢を示したとの評価もあり、政治的な打撃は小さかった。

 しかし、今回は市民の間からは、プーチン政権は何をやっているのかという厳しい批判があがるのは避けられないだろう。情報機関、保安機関が機能していなかったため一連のテロを許してしまった。

 プーチン大統領は今夏、老齢者や身障者に対する様々な福祉サービスをすべて現金を支給する形に変え、国民の多数から反発を買った。支持率は下降傾向にある。テロへの対応のまずさがこれに加わり、プーチン政権は正念場を迎えている。

 続発するテロの背景には、プーチン政権による強引とも呼べるチェチェン統治があるとの見方もある。

 チェチェン共和国ではソ連崩壊直後から独立闘争が活発化、これを阻止しようという連邦側と1994年から戦闘が続いている。この紛争に当面終わりはこないだろう。

 なんてのは勘違いも甚だしい論説で、ィエリツィン時代からのチェチェン民族絶滅戦争と言うが等しいチェチェン侵攻こそが「テロリズム」の定義である所の「暴力と恐怖で相手を政治的に服従させる行為」そのもの*3であり、今回の籠城事件がチェチェンゲリラとアラブ義勇兵によるものとの報道が本当だとしたら彼らの行為はレジスタンスの抵抗行為の断片に過ぎず、「テロ」*4にすらなっていない。

 第一、警備部隊の中に世界でも有数の凶暴な特殊部隊である所のスペツナズを入れた時点でプーチンが人質の命などどうでも良い、チェチェン絶滅戦争を完璧に遂行するために人質が何人殺されようとゲリラを皆殺しにする事こそが唯一の解決策であると決意していたのは明らかであり、それを正当化するために「テロとの戦い」と言う詭弁を持ちだしてきた事は明白です。

 チェチェンは軍事・物流ともに地政学上重要な位置にあり*5帝政ロシアが強引に占領してからずっとチェチェン人とロシア帝国*6の戦争が続いていた領域です。
 ロシアの行為も許しがたい物ですが、今回のプーチンの判断を非難しないで称賛しているアメリカとフランスの裏にどういう意思が隠されているのか不気味な物も感じます。

尚、チェチェン戦争などの事に興味があれば、

 チェチェンニュース http://chechennews.org/ (日本語)

は必読でしょう

*1:携帯からでは長文かけない

*2:そして、スペツナズと交戦の末殺された

*3:白色テロ

*4:白色テロルに対抗して赤色テロルや黒色テロルとも言われる

*5:石油と麻薬の流通で重要な拠点でもある

*6:スターリン主義ソ連も含む