J右翼のバイブル?「SAPIO」を読む
- 「日本が『アメリカの最前線基地』になる」
- 「いまこそ『平成の安保大改定』を目指せ」
と言う、見逃せない記事が載っていたため。
前の「アメリカの最前線基地になる」と言う特集は、もっと現状肯定かと思ったら、客観的な状況を示した上でアメリカの属国になるのではないか。的な問題提起を暗にしていた*1ので好感が持てます。
唯、「いまこそ平成の安保大改定を目指せ」と言う対談での安部晋三氏の意見は看過できない物があると思います*2。
安部:日本にこれだけの国力があり、自衛隊の戦力は新鋭兵器で強化され、極東の有事に対応できるとなると、確かにそれはわれわれではやれませんよ、米軍だけでどうぞ、などということはもはや成り立たないわけですね。
まず、この人は自衛隊の現状と方針をわかっていないか見て見ぬふりをしていると言う感じがします。
- 自衛隊の兵器は確かに最新鋭の兵器もありますが、調達体制に問題があり、大多数は80年代以前の兵器を使っており、それも数としては充足しているわけではないし、欠損補充もままならない。退役が進んでいる兵器の補充や一般物資の補給すらままならないのが現状です。
- 自衛隊の兵器は基本的に*3日本の国土及びその周囲での使用が前提に設計されており、外国で使用できる程甘くはない。
- 自衛隊の体制自体を海外遠征軍に切替えると、補給や戦術などの社会的でない、純粋に軍事的な部分を見ても、日本本土の防衛・警戒と言う、本来の自衛隊の任務のかなりの部分を放棄しなければならなくなる。もしくは経済体制を旧ソ連のような軍事偏重の体制に変革しないとならなくなる。
と言う三点がざっと読んだだけでも指摘できます。
又、対談の相手である前原氏の意見の中でミサイル防衛(MD)について触れられていますが、これは迎撃範囲が非常に狭く、しかもミサイルを撃墜できても弾頭の核物質や毒物・細菌などはミサイルが撃墜されたエリアに広くばらまかれるという費用対効果の非常に悪い、謂わば「金喰い虫」以外の何者でもないシステムです。
MD自体はアメリカに奉仕することと日本の企業が表立って*4兵器を海外に売ることが出来る以外のメリットはありません。
まぁ、編集方針が編集方針だからしかたないんでしょうけど、軍事知識の提供はいいけど論説の底が浅すぎるな。と思ったのが実状。