ISAS技術試験機 MUSES-C「はやぶさ」小惑星への着陸と試料採取、離陸に成功
松浦晋也氏のblogより。
http://smatsu.air-nifty.com/lbyd/2005/11/post_0365.html
「はやぶさリンク」:成功!
午前8時48分 的川教授登場。
「弾丸を打った時の探査機の姿勢、つまり弾丸を撃った方向はまだ分からないけれども、サンプル採取シーケンスはすべて正常に動作しました。採取後は WCTというモードに入っているはずなので、それをまず確認しました。モードに入っているのを確認して、わっと一同湧きました。そして私がVサインを出したわけです。弾丸を地面方向に打っていれば、ほぼ間違いなくサンプルは採取されているはずです」
記者「川口先生は…」
「呼ばれて、『お、動いているな』と」
記者 「はやぶさはどうなっていますか」
「姿勢、太陽電池の発生電力など、すべて正常です」
記者「川口先生はもう一回やるつもりでしょうか」
「みんなそれを恐れているようですね(笑)。もう一回やるとして、皆さんまた取材に来られますか」
来て良かった!(松浦)
JAXAに統合された文部科学省の研究機関であるISASが打ち上げた「技術試験衛星 MUSES-C ”はやぶさ”」は、新型の宇宙航行用エンジンであるイオンエンジンの連続運用試験を主体とした目的で作られた機体ですが、
それとともに火星軌道近くにある小惑星「イトカワ」に着陸し、「イトカワ」の一部を採取して離陸後、地球に持ち帰るという極めて斬新かつ苛酷な任務を課せられた「惑星間航行ロボット」でもあります。
「はやぶさ」は「イトカワ」の周回軌道上に到着、一回目の採取試験では機体の自己判断による小惑星への着陸と離陸と言う前人未到の快挙を果たしたもののサンプル採取には失敗、しかし、昨日朝の二回目のトライで着陸とサンプル採取に成功*1、その後「イトカワ」を周回する軌道上へと戻りました。
このプロジェクト自体は、この手の研究に於いては非常に少ない予算*2で進められ、その余波でやすいので仕方なく購入したアメリカ製の*3姿勢制御装置の三個の内の二個が使えなくなり、別系統の姿勢制御エンジンに無理をさせてしまい、離陸後姿勢回復に難儀していて、地球への期間が危ぶまれています。
こういう状況から見えてくることは、ミサイル防衛などという金ばっかし喰って軍事的にも政治的にも効果のないプロジェクトやイラク派兵などという愚挙に何兆円も突っ込む位なら、その分をこの手の基礎研究に割り当てた方が余程国際貢献になるのではないかと言う事です。
軍事でのすことも、金儲けすることも偉いことでは無く、逆に卑しいことでは無いのでしょうか。
この手の「金には簡単につながらないけど、将来の幸せに繋がること」を重視することや、「ごく一握りの人達では無く、みんなが等しく幸せや富や自由を享受できる」ことを社会デザインの基礎にするこそが今、本当に求められていることでは無いのでしょうか。
そういう考えからすると、産業の分野と科学の分野と文系の分野が調和を取りながらお互いを検証していく事こそが今後求められていくことであり、それと現状は非常に乖離しているのがかなしいかな現状だと思います。
我々の世代で「理想」を実現することは不可能かもしれない。でも、今とりかからなければ現状は永遠に変わらないのではないか
そんな事を考えさせられました。