月よお前が悪いから…のアーカイブ

http://d.hatena.ne.jp/artane/ がサーバの関係で消えるようなので、アーカイブします。基本更新しません。

「レールは警告する」

既に昨日の事件になってる訳ですが、高田馬場付近の線路が隆起して山手線などが半日止まりました…

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20060425dde041040051000c.html

JR山手線ストップ:隆起は最大6.6センチ、工事個所に集中

JR東日本は25日、東京都新宿区のJR山手線などが一時ストップしたトラブルで、埼京線湘南新宿ラインの下り線路が最大で6・6センチ隆起していたことを明らかにした。同上りは5センチ▽山手線内回りが4・1センチ▽同外回りは2・2センチだった。また、隆起は直線で25メートルにわたり、工事ミスがあった周辺3メートル以内に集中していたことも判明。同社は「隆起の原因は工事ミスが濃厚」としている。

また、国土交通省は、多くの利用者を混乱させたとして25日、JR東日本の清野智社長を呼び、再発防止策を徹底するよう警告する。法律に基づかない行政指導で、速やかな原因究明も要請する。【斎藤正利】

毎日新聞 2006年4月25日 東京夕刊

まぁ、これは単体の事件として扱われていますが、実際にはこの手の潜在的な危険は国鉄民営化以後の合理化で頻発しており、「儲けにならない」事から改善が先送りされているようで…線路の破断などという国鉄時代殆ど起きなかった重大障害が、保線の合理化の結果頻発するという状況になっているようです…

http://www.doro-chiba.org/nikkan_dc/n2006_01_06/n6219.htm

1月7日、総武緩行線・稲毛〜西千葉間(下り)において、またしてもレール破断が発生した。これは、千葉支社管内において3年連続してレール破断が発生したということであり、極めて重大な事態だと言わなければならない。

  1. 今度は総武緩行線で破断が発生

明らかに破断である。JRはレールが真っ二つに折れて20?も口が開いているというのに、マスコミに「ひび」と発表した

この2年間に千葉支社管内で発生したレール破断は、

  • 04年1月6日 津田沼〜幕張間
  • 05年2月13日 津田沼〜稲毛間
  • 同 2月27日 鹿島神宮〜鹿島スタジアム間
  • 同 3月5日 市川〜船橋

と、総武快速線を中心に4回も発生した。そして、これと同時にシェリング傷やきしみ割れ、レール側面の異常摩耗等が相次ぎ、さらに尼崎事故を契機にした安全運転行動を動労千葉が一丸となって闘う中で、千葉支社管内で百数十箇所、22?にわたってレール交換が行われ、東浪見駅45?/h制限ポイントにもATS−Pの速度照査を設置させるという大きな成果を上げてきた。(レール交換は現在継続中)
しかし、昨年のレール破断から1年も経たない中で、今度は総武緩行線においてレール破断が発生したのだ。

  1. 検測車による検査でも発見できず

今回レール破断が発生した箇所は、稲毛〜西千葉間(36?790?付近)の海側レールで、ロングレールにするための溶接部分が破断し、20?もレール間が開いたというのだ。
同箇所も含めた部分のレールは、1980年に敷設され、ほぼ同じ頃に溶接されており、25年が経過している。
この区間は、昨年11月に検測車により超音波探傷によるレール内の亀裂等について検査が実施されているが、この時点では亀裂等の異常は発見されていなかったというのだ。

昨年のレール破断に関する団交で千葉支社は「検測車によりレールの傷等について把握し、管理している」という回答を繰り返してきた。しかし、今回は、11月の検測車による検査では全く把握することもできず、レール破断にまで行き着いたということだ。

また、ここは直線区間であるにもかかわらず、レール側面が数メートルおきに削れていることが確認されるなど、ボルスタレス台車の蛇行動によるレールへの衝撃が発生していることは明らかだ。

  1. レール破断で閉そく指示運転を指示

さらに、今回のレール破断では、閉そく指示運転により、レールが破断した箇所をそのまま列車が通過するという事態まで発生している。

1月7日、8時頃、642Bの運転士から、停止信号で停車した後、信号機が進行と停止を繰り返している旨の報告がされているにもかかわらず、指令からは、閉そく指示運転が指示され、レール破断箇所を通過したというのだ。

運転取扱実施基準では、閉そく指示運転について次のとおり定めている。

第161条 輸送指令員又は駅長は、理由が判明しない閉そく信号機の停止信号現示で停止し、1分を経過したことの通告を受けた場合、列車の運転を開始しても支障がないことを確かめた後、閉そく指示運転を指示するものとする。

信号機が進行と停止を繰り返すという事象は、これまでもそうであったようにレール破断を示すものであり、一般的な信号機故障ではないこと、しかもレール破断を示す現象であることから運転を開始するに当たって支障があることは明らかで、これを無視して閉そく指示運転を指示すること自体極めて重大な事態だ。もしもレールが曲がっていたり、亀裂に車輪のフランジがが乗り上げたら脱線につながりかねない重大問題だ。しかもこうした事態に対して何ら危機感すら持たない会社の体質こそ最大の問題だ。
設備部門の外注化撤廃!

詳しくは http://www.doro-chiba.org/guide/hangou_u.htm などを見ていただくとして*1、昨年も「レールは警告する」と言う内部告発ドキュメンタリーがビデオプレス社から発売されています。*2

これに絡んでJR東日本はこのドキュメンタリーで証言した国労組合員を処分するなど「事故隠し」に躍起でしたが、

http://www.labornetjp.org/news/2006/0421

松原@ビデオプレスです。

ビデオ「レールは警告する」に出演し「週刊金曜日」の座談会で、「レール破断」の実態など安全問題を告発した国労組合員Aさんに対して、JR東日本千葉支社は、4/18付けで「厳重注意」処分を発令しました。

発令内容は「社員として勤務時間外に雑誌(*週刊金曜日のことを指す)のインタビューに応じ、会社の信用を傷つける発言をしたことは、社員として著しく不都合な行為である。今後、このような行為を繰り返さないよう厳重に注意する」というもの。

安全問題について、メディアの取材に応じて本当の話を話したことがけしからん、というわけです。JRの安全を真剣に考えている労働者をほめるのならわかりますが、それを処分するというのは、まったく「言語道断」「本末転倒」です。

表現の自由」を認めている憲法にも反するでしょう。JRの幹部にしても、いろんなメディアの取材に応じているわけで、なぜ一労働者が取材に応じてはいけないのでしょうか。もしAさんらが話したことが事実に反するなら、反論したらどうでしょうか。

また、JR東会社は4月4日付けで「申入れ」書を出し、Aさんの所属する国労千葉地方本部に対して厳重抗議をしています。内容は、「レールは警告する」に出演した国労組合員10名が「当社の信頼を失墜させる意図をうかがわせるような発言をし、ビデオに制作協力した」というものです。そして「厳重に抗議し、組合員を注意・指導せよ」とまで言っています。

今のところ、制作した責任者である「ビデオプレス」には、JRからは何の抗議も寄せられていません。「レールは警告する」にクレームがあるのなら、まず制作者に抗議をしたらどうでしょうか。出演した人を脅かすなど、とんでもないことです。

このJR東日本の「ヒジョーシキ」を、多くの人に知らせていただければ幸いです。
Created bystaff01 and Staff. Last modified on 2006-04-22 23:54:20

とうとう保線などの「儲けに直接つながらない」所を切り捨てて最低限にし、外注に廻すと言うJRの儲け重視の姿勢が今回の山手線・埼京線の事故でわずかながら明らかになったと思います。

イメージで客を引き、都合の悪い所は「マスコミ対策」で押し潰して隠し、表にでない所は極力金をかけないで儲ける*3。この事の不条理さこそが今、問われなければいけないのでは無いかな。と思います。

*1:ここは動労千葉の日刊ペーパーの紹介ページですが、題名だけでも見てると怖くなります…

*2:http://homepage3.nifty.com/videopress/rail.html

*3:これらは、一般企業にも共通するのでしょうけど