月よお前が悪いから…のアーカイブ

http://d.hatena.ne.jp/artane/ がサーバの関係で消えるようなので、アーカイブします。基本更新しません。

松岡農林水産大臣の「自殺」と農水省高級官僚の「不祥事」etc…そして牛肉

まず、亡くなられた方々のご冥福を祈ります。

http://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/070529/jkn070529000.htm

首相らにあて遺書など8通 国民におわび 松岡農水相自殺

慶応大病院に運び込まれる松岡利勝農水相。搬送時には心肺停止状態で、蘇生することなく午後2時に死亡が確認された=28日、東京都新宿区

松岡利勝農水相(62)=自民、衆院熊本3区=が28日正午すぎ、東京都港区赤坂の議員宿舎で首をつっているのが見つかった。松岡氏は慶応大学病院(新宿区)に搬送され、死亡が確認された。室内からは、安倍晋三首相や小林芳雄農水事務次官らにあてた遺書6通とA4の便箋(びんせん)2枚が見つかり、警視庁赤坂署は自殺と断定。松岡氏は光熱水費問題や農水省所管の独立行政法人緑資源機構」の談合事件が国会で問題になっていた。現職閣僚の自殺は現憲法下で初めて。

警視庁によると、遺書は、松岡氏の自室1102号室の居間のテーブルの上に首相や農水事務次官、秘書官、親族の景山俊太郎参院議員ら個人にあてた茶封筒6通と、「国民のみなさま、後援会のみなさま」あてと発見者向けとみられる2枚が置かれていた。

「国民のみなさま」あての便箋には、5月28日と日付があり、「私自身の不明不徳の致すところで、誠に申し訳ない。ご迷惑をかけおわび申し上げる」、もう一枚には「内情については妻が知っている。それは家内にいってある場所にあるので、探さないでください」という趣旨が記されていたが、自殺の動機についての記述はないという。秘書が封筒の宛名や便箋の筆跡を松岡氏の自筆と確認。すべてボールペン書きだった。

個人あて遺書は「親展」と書かれ、警視庁は内容を確認していないが、便箋には談合事件の記述はなかった。

調べでは、午後0時18分、秘書がSPと部屋に入ると、松岡氏は、居間の高さ2メートル以上あるドア上部の角にひもをかけ、首をつっていた。パジャマ姿で、そばには高さ約30センチの脚立があった。

秘書が午前10時ごろに話した際は変わった様子はなかった。午後0時15分から省内で打ち合わせがあったが、部屋から出なかったため、秘書らがドアの鍵を開けて部屋に入った。

病院によると、搬送時は心肺停止状態。蘇生措置を行ったが、心拍が再開する兆しがなく、午後2時に死亡を確認した。

談合事件をめぐり、松岡氏は林道整備調査業務の受注業者などからの献金が目立ち、中山間地域事業で有力支援者が談合調整役だったとされる。

松岡利勝農水相の通夜は29日午後8時、密葬は30日正午、ともに熊本県阿蘇市内牧166、浄信寺で営まれる。喪主は妻、初美(はつみ)さん。

(2007/05/29 05:18)

そして昨日の夜、このような報道がベタ記事扱いで報道されました。

http://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/K2007052803010.html

電車内で女性の胸さわった容疑、農水省課長補佐を逮捕
2007年5月28日(月)16:06

電車内で女性の胸を触ったとして、農水省総合食料局食糧貿易課課長補佐の浦川政義容疑者(49)=千葉市美浜区=が強制わいせつ容疑で警視庁に現行犯逮捕されていたことがわかった。「酒に酔っていて、覚えていない」と供述しているという。

万世橋署の調べでは、浦川容疑者は26日午前0時10分ごろ、JR京浜東北線の東京―神田間を走行中の車内で、会社員の女性(31)の胸を左手でさわった疑い。女性が取り押さえ、神田駅で駅員に引き渡した。

さて、ここまで書いて「緑資源機構がらみのスキャンダルとは、どういう背景で『発覚』してどういう理由であれだけとりあげられたのか」と言うあたりでの考察を書き始めようと思いましたが、更にショッキングな一報が飛び込んできました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070529-00000021-mai-soci
<緑資源談合>元森林開発公団理事が飛び降り自殺 横浜

5月29日11時38分配信 毎日新聞

29日午前5時15分ごろ、農林水産省所管の独立行政法人緑資源機構の前身の森林開発公団理事だった山崎進一さん(76)が、横浜市青葉区青葉台1の自宅マンション駐車場でパジャマ姿で死亡しているのが見つかった。
6階の踊り場に山崎さんの靴がそろえて置かれ、手すりを乗り越えたような跡があったことから、神奈川県警青葉署は飛び降り自殺したとみている。

同機構の官製談合事件をめぐり、東京地検特捜部が26日に、山崎元理事の自宅を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で家宅捜索していた。

調べでは、山崎さんはマンション5階に妻(76)と2人暮らし。この日、普段と同じ午前4時半ごろ起床。松岡利勝農相の自殺を報じた新聞を見た妻が「松岡大臣のニュースが書いてある」と話しかけると、うなずいていたという。遺書は見つかっていない。
山崎さんは目が悪く、普段は妻が新聞の見出しを読み上げていたが、緑資源機構の官製談合事件の記事は自ら虫めがねを使って読むなど、気にかけていた様子だったという。

関係者によると、山崎元理事は90年ごろ、天下り先に業務を優先的に発注する手法を確立し、前機構理事の高木宗男容疑者(59)=独禁法違反容疑で逮捕=に引き継いだとされる。退職後も機構に影響力を持っていたといい、周囲からは「影のドン」とも呼ばれていた。

また、山崎元理事は、機構から林道関連業務を受注する業者でつくる「特定森林地域協議会」(特森協=昨秋解散)の副会長も務めていた。特森協は、業者から年間数千万円の会費を集めながら、使途を会員業者にも明らかにしておらず、特捜部は資金の流れの解明を進めていたとみられる。【堀智行、安高晋】

最終更新:5月29日11時38分
毎日新聞

元々、故・松岡農林水産大臣は生粋の農水族議員で、米輸入自由化の時には地元の農民と一緒に自由化反対のために座り込んだ*1ほどに、地盤や支援母体を大事にする人物であったようですが、この間、安倍内閣に入閣し、スキャンダル発覚の直前、アメリカからの牛肉輸入再開問題でかなりややこしい立場にいたようです。

http://kihachin.net/klog/archives/2007/04/matsuoka.html

松岡利勝農水大臣を「国策捜査」から守れ! −牛肉と還元水、どっちが大事か

(中略)
何故、松岡利勝氏を新聞テレビが叩くのか。
それは、その報道が「米国の国益」に適うからに他ならないからです。

2007年4月24日付けの「きっこの日記」をお読みの皆さんなら既にお察しかと存じます。

米国は牛肉問題において、日本政府に譲歩を迫っています。
要するに月齢二十ヶ月以下を撤廃しろ、と言っているのです。
食の安全は絶対普遍のテーマです。
ただでさえ日本の食糧自給率は低い。
それも一説では28%程度との事です。

新聞テレビは本来、トップに持ってくるべきこの「ニュース」を小さく報道、或いはスルーしています。
それだけでも新聞テレビは信用に値しないでしょう。
日本の国益、即ち日本国民共通の利益を著しく害しています。

(後略)

つまり、松岡農水相の自殺の前の四月末にアメリカからの牛肉輸入が「解禁」の方向に向かったとはいえ進捗がよろしくなく*2、偶然にも先週の金曜深夜に農水省の食糧貿易課の課長補佐が痴漢のかどで逮捕され(本人は否認)、そして、その逮捕は松岡農水相の自殺が報じられた少し後に警察から公表された。

これは、非常にややこしい問題が「還元水スキャンダル」の背後にあったことを匂わせるのに十分過ぎる時系列で物事が報じられてきていると考えた方が良さそうですね(;´Д`)

つまりは、スキャンダル「発覚」の背景には、輸入牛肉輸入再開をめぐって、農水省を筆頭とする国内の利益代表と安倍総理柳沢厚労相を顔役とするアメリカ追従派の暗闘があり、
スキャンダルを「発覚」させる事で国内の利益代表を追い込み、それでも粘る松岡農水相を始めとするグループに対し、農水省の輸入に関して重要な意思決定を行うセクションの人間を「痴漢」*3と言う形で逮捕することで、暗に松岡農水省を始めとする国内の利益代表に「最終的な決断」を迫ったのではないか。

その結果として、松岡農水相は自殺に追い込まれ、そして緑資源機構農水相キャリア官僚の天下り先の「ボス」も「抵抗勢力のトップとして責任を取れ」として自害を迫られ、今朝方自殺したのではないか?

つまりは、この間の官製談合スキャンダルは単純に政官財の癒着構造が暴露されたのではなく、暴露された背景に、アメリカからの牛肉輸入再開(など)を巡った農水省を始めとする独自路線派(=輸入阻止派)と対米追従派(=無条件輸入解禁派)の泥沼の政治抗争が控えていて、独自路線派が政治闘争で「負けた」から昨日・本日の連続した「自殺」となったのではないか。

農水省連食糧貿易課・課長補佐の「痴漢」を名目とした逮捕劇は、「これ以上抵抗するならば農水族や農水官僚に関するスキャンダルを更にリークし、検察特捜部を動員して、とことん食糧政策での国内独自路線派を壊滅させるぞ」と言う、謂わば「対米追従一派」から「抵抗勢力」への「最後通牒」ではなかったか?そして、農水省を代表する顔役の二名は、自分の命を差し出すことで事態の収拾を図ろうとしたのではないか?

と言うかなり怖い方向に考えが巡ってしまうのですが
…とにかく、次に書く辺野古まとめ*4も米軍と防衛省内の対米追従派vs「国内自立派=抵抗勢力」の政治的闘いという側面が強くなりつつありますし、BSEリスクの高い牛肉の輸入再開問題という一点からこのような事態へと発展するというのが…
…我々は、旧ソ連北朝鮮・中国の「独裁政治」や冷戦時代にあった旧ソ連の東欧侵略をよそ事としてはいられない状況に知らぬ間に追い込まれつつある事を自覚し、その流れを止めるしかないと思います。

*1:28日19時過ぎのTBS報道による

*2:Artane.訂正 2007-05-29 14:31

*3:強調しますが、逮捕された側は痴漢はしていないと主張しています

*4:夜になるかも…