月よお前が悪いから…のアーカイブ

http://d.hatena.ne.jp/artane/ がサーバの関係で消えるようなので、アーカイブします。基本更新しません。

神奈川県、禁煙強制条例を強行か?

tvkでやってる松沢神奈川県知事の定例会見を毎週チェックしているのですが、今週の定例会見で「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例(素案)」(PDF版)が公表されました。*1

が、非喫煙者や青少年の健康を守るため。と称して居酒屋や旅館*2まで神奈川県内全ての設備で禁煙を強制し、誰かが喫煙した場合には喫煙者に二万円までの過料を課すと同時に施設管理者*3に連帯責任として過料を課すと言うこの条例でもっとも醜悪な部分は温存されたままです。
一定の要件を満たさない約七割の施設で三年間の猶予期間を設けるとは言っても、青少年については準備期間を経たら喫煙を全面禁止するとなっている*4こと、そして三年後には否応なしに禁煙を強制し、喫煙について全面的に禁止するという根幹の部分は何ら変わっていないです。

つまりは、ある人々の健康を守るためにもう片方のリスクを承知でやってる人の自由権のみならず、喫煙を行ってる設備・店舗に対しても「連帯責任」を取らせることで過剰に営業の権利と設備管理者の人権を制限する。と言うこの条例のファシズム的な凶暴性は何ら緩められてはいない。*5
何が何でも条例を通すためのアリバイ的な三年間の「猶予期間」があるだけです。

松沢知事はこの条例を制定するに当たってWHOのお偉いさんと話して「神奈川から禁煙の動きを進めてほしい」とお墨付きを得た。と言いますが、このような強制力を持たせることや旅館のような閉鎖的な所にまで禁煙を強制すると同時に「喫煙があった場合、店舗や設備の管理者に連帯責任を取らせる」「分煙施設が不可能な小規模な所では当局のアドバイスによって分煙をやってもらう」と言うかたちで当局の大規模な介入を進める事までわかって松沢知事に「お墨付き」を与えたのであろうか…非常に疑問が残ります。

ちなみに、私は喫煙をしません。ヘビースモーカーと同居してた時の影響で未だに気管支にダメージを残しています。体調良くないときに横でタバコ吸われると気分が悪くなります。

しかし、それと同時に条例や法律で禁煙する事を強制するべきではないと思っている。
間接喫煙を嫌がる権利も健康権もあるけど、それと同じくらいに喫煙する人の自由権も重いものだと思うから。

だから、この条例案には猛烈に反対します。

松沢知事の頭の中には*6、自分の理想とする「きれいな社会」があって、そこに沿わない人の人権とへの配慮も、想像力も全くないとしか思えない。

基本的には二者間のやりとりで決めるべき事をこういう形で公が介入する場合には非常に慎重でなければならないのではないでしょうか?
片方の文化的生存権が明らかに破壊されようとしているのを守るのならば強制力の執行はやむをえない。でも、喫煙にしてもエロ漫画やエロビデオにしても、それによって誰の文化的生存権が破壊されるのか?緊急性を要するようなレアケースについては、既に刑法などで取り締まり基準が確立している。公が「保護」するという美名の下に、人間の関係性を作り上げるチャンスや努力を公がブチ壊しているだけなんじゃないのか?

特に、旅館やホテルという非常にプライベートな空間に対しても強い強制力を以て利用者の人権を規制する必要は、全くないと思いますが…多人数が集まる宴会場でギリギリボーダーラインかもしれない。と言うレベルであって、個室にまで禁煙や分煙を徹底させようというのは余りにヒステリック過ぎると同時に、松沢知事(やブレーン・取り巻き)の本質が良く出ている。*7

定例会見で発表された所によると来年一月十八日、横浜の神奈川県民ホールで知事自ら理念を示す二千人規模の県民集会を開いて、世論の圧力を得ようとしていますが、この条例に賛同する人やこういう集会に動員される人のどの程度が人権のバランスという非常にややこしい問題を踏まえているのか?
知事がその権力とカリスマ性によって強引に社会をデザインしなおす。そういう試みや行政構造の持つ危険性をどれだけの人がわかっているのか?*8
この条例が切り開く未来に対し非常に強い不安と恐怖を私は、憶える。

*1:細かくは条文素案を読んでください。

*2:勿論、ラブホテルも含まれる

*3:店長や経営者

*4:勿論、喫煙のあった設備の管理者も処罰される!

*5:連帯責任を取らせる手法である物事を強制するのは連帯責任を取らされる側に取っては非常に不条理である場合が多い事に注目して欲しい

*6:青少年の夜間外出で親やお店に連帯責任を取らせているのと同じように、エロや残虐な表現に対して厳しい検閲基準や流通規制を強いているのと同じように

*7:少しえげつない話ですが、ラブホテルで行為をした後にタバコを吸うことに喜びを憶える人のささやかな楽しみの権利を奪えるのは誰であるか…と言う問題を考えるとこの条例の凶悪さがよくわかるのではないかと…あくまでも行為に及んでる双方の関係性から築き上げられるべきような代物であって、そこに公が土足で入り込むのはやりすぎどころか考えようによっては良心の自由を不当に制限することになるのではないか?

*8:前回知事選で松沢知事「支持」になり、松沢知事が石原都知事を露骨に支援したことで慌てて「支持」を引っ込めた社民党・神奈川県連には猛省を促したいです。あの当時から私には松沢知事の危険性が読めていた。次の知事選では何が何でも松沢を落選させるために嫌われてる共産党などと手を組むくらいの英断をしてほしいと思っています