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何か、ものすごく後味が悪いというか、実際に死線を歩いてる現場のアニメータやプログラマ・彼らに仕事を振ってる末端の制作会社についてまったく言及されていないで、ハコモノである「アニメの殿堂」があることが末端の技能職*1の海外流出を防ぐというあたりの論理展開に非常に憤慨しました。が、経歴を読むと
- 筆者紹介-
岸 博幸(きし ひろゆき)
慶応大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構准教授、エイベックス取締役
略歴
1962年、東京都生まれ。一橋大学経済卒、コロンビア大学ビジネススクール卒
業(MBA)。86年、通商産業省(現・経済産業省)入省。朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)、資源エネルギー庁、内閣官房IT担当室などを経て、
当時の竹中平蔵大臣の秘書官に就任。同大臣の側近として、不良債権処理、郵政民営化など構造改革の立案・実行に携わる。98〜00年に坂本龍一氏らとともに設立したメディアアーティスト協会(MAA)の事務局長を兼職するなど、ボランティアで音楽、アニメ等のコンテンツビジネスのプロデュースに関与。 2004年から慶応大学助教授を兼任。06年、小泉内閣の終焉とともに経産省を退職し、慶応大学助教授(デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構)に就任。07年から現職。
要は、コロンビア大学帰りの経産省のキャリア官僚が竹中「参考人招致バックレ」元財務相・総務相の秘書官を経てエイベックスに天下った。
と言うご経歴の持ち主で、そのある意味新自由主義経済バリバリの*2コンテンツ産業のホープが国にお金というか「アニメの殿堂」を作るときに出てくるお金や利権を非常に待ち望んでるのは片方では国に頼らない・小さな政府を指向する新自由主義経済イデオロギーに反するように見えますが、しかし、ミルトン・フリードマンやミハイル・ホドルコフスキーなどがそうであったように、新自由主義イデオロギーとは実は小さな政府に改革する事を粉飾して、旧来国家財産を持っていた者から少数の新興勢力が一部の政治勢力と結託して、その国家財産を旧勢力から奪取し独占して離さないでも何ら違法でも不道徳でもないように国家全体を「改革」するイデオロギーである。と再定義し*3、その上でこの岸氏がコンテンツ利権を国から引き出そうと腐心してこの様な論文を出してくる「必死さ」を考えると、非常に新自由主義者らしい唾棄すべき行動と論文であると言えると思います。