月よお前が悪いから…のアーカイブ

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詐欺師議員連合、本宮ひろ志氏と集英社に虚偽の歴史を押し付ける

 昨日(id:artane:20041008)でも言及した、「国が燃える」の南京大虐殺描写への地方議員連合の「抗議文」ですが、結局本宮氏と集英社が屈伏する形になりそうです。

 本日の産経新聞社会面(http://www.sankei.co.jp/news/morning/09na1001.htm)より。

本宮ひろ志さん雑誌連載漫画 南京事件で不適切表現 集英社に抗議殺到、釈明へ

 青年漫画誌「週刊ヤングジャンプ」に本宮ひろ志さん(五七)が連載中の「国が燃える」で、南京事件をめぐる不適切な表現があったとして、発行元の集英社に抗議が殺到。同社は本宮さんと協議のうえ八日、(1)同社が釈明記事を「週刊ヤングジャンプ」に掲載すること(2)単行本化の際、指摘のあった個所を本宮さんが修正すること−を決定した。同社によると本宮さんも二点について了解しているという。釈明記事の掲載時期は未定。

 問題になったのは、九月二十二日発売号に掲載された作品。本宮さんはここで「南京では、人類が絶対に忘れてはならない日本軍による愚行があった。いわゆる“南京虐殺事件”である」と口上を書き、「百人斬り」を連想させる場面を含め、旧日本軍の“蛮行”を描いた。

 “南京虐殺”は犠牲者の数やその存在をめぐって、いまも論争の続くデリケートな問題。また二人の将校による「百人斬り」も、戦意高揚のために毎日新聞(当時東京日日新聞)が信憑(しんぴょう)性に乏しい話を歴史的事実として報道し名誉を傷つけられた−として、将校の遺族が同紙などを相手取り慰謝料などを求める訴訟を起こし、係争中。

 同社は「本宮さんも編集部も政治的意図は一切ない。南京事件は作品の完成度を高めるためには避けて通れないものだった。デリケートな問題という認識はあったので、本宮さんと編集部が慎重に検証しながら漫画化した。しかし検証に反省すべき点があった」として、本宮さんとともに再度検証作業を行っていた。

 これこそ、政治的詐欺師たちによる言論弾圧そのものでしょう。

 特に、昨日紹介した抗議文が、議員のみの肩書で書かれた物であることに集英社が非常に危機感を感じている事が、今回の「屈伏」の根底に有るのではないでしょうか。*1

 念のために抗議文を張り付けておきます。

株式会社集英社 代表取締役 谷山 尚義様    平成16年10月5日
              『ヤングジャンプ』編集長  田中 純 様
              「国が燃える」作者     本宮ひろ志

     集英社問題を考える地方議員の会 代表   犬伏秀一大田区
                     事務局長 松浦芳子杉並区議

古賀俊昭東京都議・土屋たかゆき東京都議・高橋雪文岩手県議・鈴木正人志木市議・白土幸仁春日部市議・新村和弘雄踏町議・渡辺眞日野市議・沢田力さいたま市議・大田祐介海老名市議・宍倉清蔵千葉市議・大関修右内原町議・上島よしもり世田谷区議・鴨打喜久男小平市議・上橋泉柏市議・吉住健一新宿区議・大西宣也町田市議・伊藤玲子鎌倉市議・井出口良一大分市議・井上健国立市議・三宅隆一川崎市議・梅田俊幸日野市議・頼重秀一沼津市議・小畑くにお浜北市議・三宅博八尾市議・水ノ上成彰堺市議・木村徳国分寺市議・広重市郎宇部市議・吉田信解本庄市議・中田勇新座市議・新井よしなお町田市議・佐々木祥二元長野県議・森高康行愛媛県議・天目石要一郎武蔵村山市議・岸田正大田区議・田中健大田区議・伊藤たけし渋谷区議・稲川和成川口市議・井野兼一塩尻市議・矢本おさむ南海市議 (10/4現在 順不同)

              抗 議 文

私たちは、各地域において、青少年の健全育成と、異常な自虐的歴史観の排除に奮闘している地方議員です。
貴社が平素より、出版物を通じ、青少年の健全育成に努められている由、敬意を表するものでございます。しかしながら、貴社発行『ヤングジャンプ』42、43号に掲載されている、本宮ひろ志氏作「国が燃える」については、その史実考証の稚拙さなど、看過する訳にはいきません。つきましては、各議員連名のうえ、下記のとおり抗議いたしますので、平成16年10月12日までに誠意ある回答、対応及び面会を求めます。

1. 所謂『南京大虐殺』は、当時の体験者や、研究者、学者により、諸説が分かれているところであり、ないという強力な証拠があるものの、あるという確証がない状態で、松井石根氏、岸信介氏等実名を使用し、これをあたかも戦争の真実として漫画化している。

2. 中国の真偽定かでない写真を用い、百人斬りを事実として記載し、意図的 に歴史を歪曲している。

3. 歴史的認識が確立されていない青少年に多大なる影響を与える貴誌に、史 実ではない残虐なシーンが登載された事は、次代を担う青少年の心を傷つけ、遺憾である

4. 事の重要性を認識せず、問題の事実関係についての調査研究を怠り、大東亜戦争従軍の将兵、遺族さらには日本国及び国民の誇りに傷をつけ、辱めさせた行為は厳に慎むべき行為であり、フィクションと記載された「漫画」であっても許されない。
 
以上
              
連絡先:144-8621 大田区蒲田5-13-14    大田区議会 犬伏 秀一
    166-8570 杉並区阿佐ヶ谷南1-15-1  杉並区議会 松浦 芳子

 これは、体の良い恫喝文そのものです。

 抗議文の文面で「青少年の心を傷つけ」と言うレトリックが使われていたのは、非常に危険かつ注目すべき兆候だと思います。

 又、極右系の掲示板で「株主や広告主に圧力をかけよう」などと言う、ユダヤロビーばりのごろつき的手法が推奨されていたのも*2、同様に危険な兆候だと思います。

 彼らには、自分達の「言論の自由」しか存在しないのでしょうか(;´Д`)

*1:「抗議が殺到した」として、地方議員の圧力の存在を「わざと」伝えない産経新聞も卑怯だが

*2:最近の「有害図書」騒動の時に出版社にとっての生命線であるコンビニ流通に恫喝がされたのも似た手法だが