月よお前が悪いから…のアーカイブ

http://d.hatena.ne.jp/artane/ がサーバの関係で消えるようなので、アーカイブします。基本更新しません。

ここはひどい拘置所ですね

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20050131k0000e040039000c.html

拘置所自殺:国の責任認め賠償支払いを命令 東京地裁

 東京拘置所(東京都葛飾区)に拘置中の元被告の男性(当時45歳)が自殺したのは投薬を中止されたためとして、母親が国に約1億4300万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は31日、原告側の主張をほぼ全面的に認め、約3055万円の支払いを命じた。瀬木比呂志裁判長は「拘置所の医師は、従前の診断に基づく投薬措置が特に不合理と認められない場合には投薬措置を継続する義務があり、投薬中止は違法。自殺との因果関係も認められる」と述べた。

 判決によると、傷害致死罪に問われた水野憲一元被告は無罪を主張したが、東京地裁八王子支部で懲役7年の判決を受け、控訴中だった。控訴審が始まる前の02年6月、八王子拘置支所から東京拘置所に移され、独居房内でぞうきんをのどに押し込み自殺した。元被告は十分睡眠をとっても突然眠り込む「ナルコレプシー」(過眠症)だったが、東京拘置所移管後、長年服用していた向精神薬の投与が中止された。投薬中止によって精神的に著しく不安な状態に陥り、自殺に至ったと判断した。

 判決は、ぞうきんを撤去するなど防止措置を取らなかったことと、男性の異変に気づいた際に人工呼吸などの救命措置を取らなかったことについても死亡との因果関係を認めた。

 元被告の母親の水野寿美子さん(74)は判決後に会見し、「息子は甚だしい過失で殺されたようなもので、それを裁判所が認めてくれたのはうれしい。今後、拘置所の治療のあり方が改善されることを期待している」と話した。【坂本高志】

 ▼法務省矯正局保安課の話 判決の内容を十分に検討し、関係部局と協議のうえ、適切に対応していきたい。

毎日新聞 2005年1月31日 11時16分

 一つの記事だけだと「なぜ障害致死罪になったか」と言う真相がわからないのでもう一つ。

http://www.asahi.com/national/update/0131/011.html

持病の薬もらえず勾留中に自殺、国に3千万円賠償命令

 東京拘置所で02年6月、勾留(こうりゅう)中に自殺した東京都立川市の男性(当時45)の母親(74)が「精神疾患があった息子が自殺したのは、長年服用してきた薬を与えられなかったためだ」などとして、国を相手に慰謝料など計約1億円の国家賠償を求めた訴訟の判決が31日、東京地裁であった。瀬木比呂志裁判長は拘置所の責任を認め、国に約3060万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は02年6月、拘置所の房内で、ぞうきんをのみ込み窒息死した。

 判決は「拘置所の医師は長期的な観点で治療をできる立場にないが、患者は唯一絶対的なものとして受け入れるしかない」と指摘。拘置所の治療では、基本的に従来、専門医が行ってきた投薬・治療を続ける義務があると述べた。

 その上で、男性のケースについて「薬の服用を中止する必要性はなく、未決勾留という特殊な状況でうつ傾向が急激に悪化し、自殺に至ることは想定できた」と述べ、医師の措置と自殺には因果関係があると認定した。

 判決はさらに(1)男性が自殺をほのめかす母親あてのメモを職員に渡していたのに、拘置所はぞうきんを撤去しなかった(2)男性の異常を発見した後、医師の到着まで人工呼吸などの措置をしなかった−−と指摘。拘置所の対応に安全確保義務違反があったと述べた。

 判決などによると、男性は00年12月、東京都国分寺市内で一橋大学教授(当時46)の自転車に車を衝突させ、死亡させたとされる傷害致死罪で懲役7年の実刑判決を受けた。控訴審の開始を翌月に控えた02年6月、八王子拘置支所から東京拘置所に移された直後に自殺した。 (01/31 13:02)

さて、このことからわかることは、

  1. 拘置されていた人はナルコレプシーだった。
  2. 彼は自動車事故で人を轢いて7年の実刑を受けていた。

ということでして、これから読み取れることは

  1. 事故の裁判の争点は間違いなく事故とナルコレプシーの発作の関連性である。
  2. この点で、東京地裁八王子支部(だと思う)の裁判官の出した実刑7年の判決はナルコレプシーに対する思慮の浅い判決=本来なら心神耗弱と同じ判定が下されるべき物だったのではなかったのか?
  3. ナルコレプシーの治療薬としては一般に「リタリン」が使われるが、この薬は鬱病の治療にも使われるだけでなく、組成が覚醒剤に非常に酷似しており、主な禁断症状として幻覚や欝の悪化が挙げられる劇薬である。

 とすれば、自殺した元被告がリタリンを服用していたのはほぼ確実であり、東京拘置所がそのことについて無知であったか、「制裁」として投薬を禁止していたということになり、拘置所法務省側の過失を100%認めたこの判決は妥当な物でしょう。

 しかし、「内輪に甘い」法務省の事ですから、高裁か最高裁まで控訴して強引に判決を逆転させようとする上に拘置所の官吏への処罰もせいぜい口頭注意ていどになるのでしょう。

 あぁ、人権貧困国…