月よお前が悪いから…のアーカイブ

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「ウルトラマンメビウス」第32話 「怪獣使いの遺産」

ネット、特に「2ちゃんねる」の特撮板では評判が非常に悪いですが、実際に見ると、「30年前に上原正三氏が行った差別に関する問題提起の根本は、今でも変わっていない」という一本筋が通っていて、良かったのではないかと思います。
話を見逃した人はレンタルを待っていただくとして:-)、
今回の話での中心は既成概念に囚われて「宇宙人=なにをするかわからない、とにかく敵」として受け止めて行動する防衛隊員(リュウ)や保育士と、「宇宙人だって怪我をすれば痛い」と保育士の制止を振り切って宇宙人にハンカチを渡した子供とそれに続いて葛藤を振り切ったかのようにハンカチを持っていく子供達や話合い前提を貫こうとするミライ(=ウルトラマンメビウス)やサコミズ隊長を対として描いた事にあるのではないかな。と思います。

時代は変わり、「こわい」などという差別感情による悲劇*1の記憶が記録として残っていても、しかし、差別という思考・感情や、昔親族が差別された側の憎しみ*2は、簡単には洗い流すことが出来ない
…それは雨の中でメイツ星人が「も一度地球人と話してみようと思った。でも、俺の中の憎しみは消えない!ウルトラマンメビウス、俺の憎しみを消してくれ!」と言う慟哭としかいいようのない叫びと、その後、メイツ星人が地球を去るときにリュウが握手にさしのべた手を「(宇宙人への見た目だけでの偏見がなくなるという意味合いで)花が咲くのを見届けてからにするよ」と握手を先延ばしにして地球を去る話の終わりかたに入っているし、脚本の朱川氏や演出スタッフの「いまの時期に、なぜあの話の続編をやるのか」と言う考えがこもっているんではないかと思いますが。

残念なのは、朱川氏は初めてこの手のドラマの脚本を書いたようで、今一つ脚本がこなれていなかった事でしょうか。

今の時代、「××人だから」「△△の出身だから」と言うことによる差別の感情は歩いているだけでは目立たなくはなっているけど、ネットというドブ板には溢れる程淀んでいますし、逆に自分の持つ差別心と向き合う機会が減った分、実際の差別はえげつなくなっている。
最近なんかだと「北朝鮮が拉致をやった*3朝鮮人と利益代表は日本から排除しなければいけない」と言う短絡的思考や「奈良市役所の職員をやっていた部落解放同盟の奈良地本の幹部が解放同盟の看板をつかって奈良市を恐喝して殆ど出勤しないで大金をせしめていた=部落の人間は卑怯者ばかりだ」と思考が短絡していく状況が非常によくあります。

そういう「短絡思考」は上から命令を出す側にすると非常に都合が良いようで、それを利用して権力を掴もうとする人間すら現れ、実際に総理大臣にまでなった者さえ出る始末です。

どうなるんでしょうね、日本は┐(´ー`)┌

*1:それゆえ、何もしていないメイツ星人が住民に虐殺されると言うのが上原氏の脚本による「怪獣使いと少年」(帰ってきたウルトラマン)の大筋

*2:今回地球に来た「メイツ星人」は前作で民衆に虐殺された「宇宙人」の息子?(娘?)役者から見ると息子になりますが…と言う事になっている事は非常に重い鍵です

*3:では、統一協会みたいなカルトのやる拉致は「正しい拉致」なんですかね?