月よお前が悪いから…のアーカイブ

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「紅い資本主義」の終焉

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20041109ig91.htm

11月10日付・読売社説(2)
[中国抗議騒動]「『弱者の反乱』が始まったのか」

 中国各地で、民衆の抗議行動が、続発している。急成長の陰で広がる貧富差や底なしの汚職といった社会矛盾が、底流にある。中国の「民乱」現象はどこへ向かおうとしているのか。

 先月末、河南省鄭州市郊外でイスラム教を信仰する少数民族回族と漢族の住民同士が衝突、多数の死傷者が出た。回族の運転する車に漢族の少女がはねられ死亡したのが発端だったという。

 中国社会の実相は、今も情報統制という「竹のカーテン」で覆われている。中国当局が、社会事件を自ら公表するのはまれで、外国メディアを通じ露見するケースが大半だ。今年に入り、そうした「騒乱報道」が急増している。

 特に、今秋以降は続発の状況だ。香港に隣接する経済特区深セン市で、四千人の労働者が賃上げを求めて、路上封鎖ストを行った。内陸部の中核都市、重慶市では、公務員への反感から数万人が区庁舎を包囲する騒ぎが起きた。

 安徽省では、年金引き上げを求め一万人規模の抗議行動があった。四川省漢源県では、ダム建設の立ち退きに反発した農民の大規模な暴動で数人が死亡し、軍が出動する事態に発展している。

 中国では、地域・個人間の貧富差が拡大の一途だ。低所得の都市住民や農民は生活苦にあえぐ。官僚の不正・腐敗現象も改善の兆しはない。利権の絡む土地や建物の強制収用は汚職の温床となり、弱者切り捨てが横行している。

 発展から取り残されがちな少数民族は不満を募らせている。最近の事件は、こうした中国社会全般に広がる負の現象と直結している。しかも、報道は氷山の一角に過ぎない。中国の混乱がさらに広がるようなら、相互依存を強める周辺国にとっても、無視できなくなる。

 経済面でも、気がかりな現象が出始めている。

 中国は安価な労働力を武器に急成長してきた。ところが、広東省を中心に、今年になって農村からの出稼ぎ労働者不足が、深刻になっている。

 低賃金や過酷な労働条件を嫌って、労働者が条件の良い上海へと流れたり、中国政府の進める内陸部開発で、出稼ぎをしなくても働ける機会が増えたことなどが背景にある。経営者は人件費アップや待遇改善に迫られている。

 先月、深セン市で起きた賃上げストは、労働者の権利意識の高まりを象徴する出来事の一つだ。

 中国の低コスト神話の陰りと「民乱」は、外資系企業の基盤をも揺さぶりかねない。中国進出を目指す日本企業は、新たなリスク要因への目配りが必要だ。
(2004/11/10/01:30 読売新聞 無断転載禁止)

 これを「共産主義の破綻」と結び付けるのはいささか短絡的でしょう。
 中国で労働問題や民族問題が「共産党」と言う名称の、ソ連スターリニズムを持ち込んだ「官僚制王朝」によって抑え込まれてきた…それは国民党・清朝以前と何ら変わらない、王制中国の「首のすげかえ」に過ぎない…のが、それを中国民衆がのりこえつつある「目覚めの時期」なのではないかと思います。

 つまりは、西側資本主義、東側スターリン社会主義と結託して政治や商売を行い、それのしわ寄せを弱き民草におしつけっぱなしできた「建国」以来のツケをやっと彼らは払うことを迫られ、そしてそれを払うことで「共産党」と言う名の王朝が崩壊するか、もしくは変貌すると言う事でしょう。

 「弱者の反乱」ははじまったばかりです。
 それは、1980年代末に東側諸国ではじまり、中南米を経てやっと中国に到達した。
 その結末は…我々は見ることは出来ないかもしれない。
 でも、体験して参加することは出来る。
 そうかんがえると、この時代は非常に面白い時代ではありませんか!