神奈川県、「有害」図書として「残虐」ゲームを入れる諮問*2
神奈川県が「残虐」なゲームを「有害」図書として販売規制すると宣言した訳ですが、この問題は非常に独善的な松沢知事の体質を表していると思います。
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/hisyo/chiji/kaiken/050525.htm
定例記者会見(2005.5.25)結果概要
○発表事項
(略)
(ゲームソフトの有害図書類指定の諮問について)・ 次に、ゲームソフトの有害図書類指定の諮問についてお知らせします。皆さんのお手元に「次第」が参考にお配りしてありますが、5月30 日に県児童福祉審議会社会環境部会が開かれます。今般、ゲームソフトの青少年保護育成条例に基づく有害図書類指定について諮問をしたいと考えておりますので、お知らせいたします。近年、家庭用ゲーム機が普及し、ゲームソフトも多数流通する中で、残虐的または暴力的なゲームソフトの青少年に対する影響について問題性も指摘されております。県議会でもさまざまご意見、ご指摘をいただいております。ゲームソフトは、映画やビデオとは異なり、自分自身が主人公となって、ゲームに参加することにより、あたかも現実の世界、場面にいるような錯覚、感覚を覚えることがあると言われています。今回の諮問に当たっては、県内の家電量販店などで実際に販売されているものの中から、新聞等で話題になったものなどをサンプルとして購入し、事務局で調査いたしました。その中から、子どもたちへの現実的な影響を重視し、場面設定が現実社会に近く、暴力性や残虐性が極めて高いものを、1本諮問したいと考えております。なお、ゲームソフト名につきましては、審議に予断を与えかねないことから、ここでは差し控えさせていただきます。青少年の健全育成は待ったなしの課題ですので、まずは、こうした形で一歩踏み出すことが重要ではないかと考え、全国初の先駆的な措置として、今回初めてゲームソフトを有害図書指定にしていくという諮問をすることといたしました。
(中略)
○質疑
(中略)(ゲームソフトの有害図書類指定の諮問について)
Q: 先程の有害図書の指定の関係ですが、新聞などで話題になったものとおっしゃっていましたが、例えばいろんな少年事件が過去あった中で見ていたゲームとかですね、どういうものかっていうのをお尋ねしたいのと、あと、何件ぐらいとか見られたうちの1件を今回諮問するんでしょうか。
A: まず、いろんなところで話題になっている、暴力シーンとか残虐シーンがあるゲームソフトでありますけれども、これは、あくまでも審議会で規制するかどうかを審議して決まるわけで、まだそういう段階になっていませんので、ここで私が個別名を挙げますと、そのゲームソフト制作者にも迷惑が掛かってしまいますので、個別名は避けたいというふうに思います*1。そういうゲームソフトの中で、弁護士さんとも相談して、著作権の関係で問題がないという判断で、できるだけゲームに慣れた人にゲームソフトを操作してもらいまして、それをビデオに撮って、そのビデオを何本か審議会の先生方に見ていただく、それで判断をしていただくという方法を採らせていただきます。今回、私ども、県の事務局の方で、五、六本見たんだと思います。その中で問題だと思う3本を見ていただくわけですが、県としては、その中の1本については、これは規制すべきだという事務局の考え方がございます。そういう形で、見ていただくと。要するに「これはかなりひどいので、規制をしたい」と、「いかがでしょうか」と。ただ、これはほかと比較しないと分からないわけですね。ですから、県が見て「これも、かなりひどいな」と思うものもあと2本ご覧いただいて、「こういう中で県として判断したんです」と、「審議会の先生方、いかがでしょうか」という形で、見ていただくやり方を採りたいというふうに思ってます。ただ、審議会でありますので、審議会の先生方の審議の仕方は、審議会で決めることになっていますので、私どもとしては、そういう提案をさせていただいて、後は、審議会の皆さんの審議にお任せするということであります。それから、もう一つの質問は、暴力、残虐シーンだけじゃない、ほかのタイプの問題ソフトの規制はどうするのかという、こういう意味も含めてですか。
Q: いや、まず、その・・・。
A: よく言われる、その調教物とかありますよね。この前もちょっと話題になりましたが。そういうものについても、問題があるゲームソフトが多いと思いますので、県としては、今後の規制の対象としては検討はしていきたいと思っています。ただ、わいせつ物についてはですね、包括指定と言いまして、ビデオなんかそうですけども、例えば何分くらいそういうシーンがあるとか、あるいは、本類、図書類でしたら、何ページ、何割以上そういう描写のものがあるとか、それ以下であればいいという、包括指定ルールがありますので、わいせつ物については、そういう包括指定の中で判断ができると。ただ、暴力、残虐物と調教物については、包括指定がありませんので、それは、あくまでも主観と言われてしまうかもしれませんが、県で判断して、そして最終的には審議会の皆さんにご議論をいただいて、それを規制するかどうかを決めていくと、こういうことになろうかと思います。青少年保護育成条例の中には、こういう有害図書の中でビデオ類も問題があったら規制できるというふうになってますので。しかし、これ(ゲームソフト)は今まで全国的に見てもどこも規制していなかったわけですね。ただ、この有害ゲームソフトがかなり青少年の犯罪につながっているということが指摘されておりますし、私もその心配をしている一人なので、今回、全国初でありますけれど、あえてこうした形をとらせていただくということです。そして、これは広域的な対応が必要であります。ゲームソフトを多摩川を渡って東京に買いに行ったら、すぐ手に入るのでは、規制対象になったとしても効果を発揮できませんので、今後、次の首都圏サミットで提起をしまして、できれば、一都三県の条例でそういう規定がありますので、それを利用して共通の規制にしていけるように提起をしていきたいというふうに思っております。
Q: 確認なんですが、私が聞きたかったのは、暴力シーンといっても、そういう非常に有害なゲームというのはいっぱいあると思うんですけれども、それのうちのどれを規制するかという方針というのは、例えば、現実的にいろんな少年事件が起きた時に、それを起こした少年が見ていたということで、今まで話題になったようなものをかなり、例えば、中心に審議したのか、それとも、県の方がそこで売っているのを買ってきてですね、これはひどいなというので、さっき、ご説明だとちょっと主観的に選んだというふうな話で。
A: 主観的に選んだっていうのではなくて、主観的になってしまう。包括指定ではないですから、その人の感覚で「これはひどい」となる。ただ、県の方としては、まず考えたのは、生身のリアルな人間をどんどん撃ち殺していくというのは、やっぱり、これ、極めて問題が多いのではないかという判断です。例えば、動物ですとか怪物を撃っていくというのであれば、まだこれはゲームの世界として許せるかもしれませんが、本当にリアルな生身の人間をどんどん殺していくという残虐性は問題だろうということで、そういう観点から、ゲームソフトを事務方で見ていきまして、どうしてもこれはひどいと思える1本を諮問したいということです。ただ、それは比較をしてもらわないといけませんので、なぜ、これを選んだのかということも説明したいので、他のビデオも2本、合わせて3本見ていただいて、それで、審議会の皆さんにこういう方向でよろしいのか、ご判断をいただくと、こういうことであります。
Q: 今の有害図書の関係なんですが、諮問をするのは1本ですか。3本諮問するんですか。
A: 1本です。
Q: じゃあ、その他の2本というのは、あくまでも参考に・・・。
A: そうですね。だから、「この1本をこういう理由で有害図書類として規制したいと県は考えているんですが」ということで諮問して、ただ、それには、他の有害と思われているビデオとどこに違いがあって、どうしてこれだけは問題なのかというのを、見て判断していただくために他にも2本見ていただくと、こういうことであります。
Q: もともと、事務方のほうで、調査されたのが何本なんでしょうか。
青少年課長: 実際に見たのは6本です。
Q: その6本の抽出の基準というのは何だったんでしょう。
青少年課長: 基準は、どこの量販店でも手に入る、かなり流通がされているというのと、それから雑誌、インターネット等で残虐性がうたわれているもの、そして、実際に量販店に行って、パッケージや説明文を見て、その中から6本を抽出しました。
Q: 諮問を1本とされたのは、これはどういう理由からなんですか。1本が1回の審議会で審議するに当たっての限界だっていうことだったんですか。
A: いや、極めて残虐性が高い、とにかくリアルな人間がリアルな人間をどんどん殺していくというのが極めて問題だという観点から見て、その1本がかなりひどかったわけですね。そういう判断です。
Q: 逆に言うと、今、売られているソフトの中で、今回諮問される1本以外は特に問題ないということなんでしょうか。
A: 特に問題ないというのではなくて、まず、一番問題だと思われているこれを、きちっと指摘をすると。それで1本だけでは抑止力にならないじゃないかという意見もあるかもしれませんが、ただこれ全国で初めてですね、青少年に悪い影響を与える可能性が極めて高いと思われているものを、こういう形で行政がきちっと規制をしていくという効果によってですね、やはり保護者も、子どもたちがやってるゲームソフトもそんな問題なのかなと、相当気を使うようになりますし、そういう意味で、抑止力も出てくると思います。今後、また調教物のソフトなどについても、少し慎重に検討しながらですね、どうしても問題性が多いというものであれば、今後も諮問する可能性はあるわけですけどね。
Q: 表現の自由とも関係してくると思うんですけれども、基本的にこの審議会でですね、諮問を決定するだけで、規制というのは可能なんでしょうか。
A: 条例上は可能です。ですから、その表現の自由の問題も含めて専門の委員の皆さんに、こういう方向性でいいのかどうかのご判断をいただくということであります。
Q: 条例の絡みなんですが、個別規制というのは名前を公表して、売る場所を規制させるというあれなんでしょうか。
青少年課長: 18歳未満に販売・転貸等しないということと、区分陳列ということで、全く別室にするか、カウンターあるいは同じ棚であればそこだけ区分して陳列しなさいというような形になってます。
Q: ついでですが、罰則をちょっと教えていただけますか。
青少年課長: 罰則は、最初に改善の勧告をします。勧告をして、さらにそれに従わない場合は改善命令を出します。改善命令を出してそれに従わない場合は罰金として30万円と、それからあと今度新しく条例改正をして、それは10月から施行ですが、名前も公表できるというふうになります。
Q: 18才未満に販売した場合どうかというのは。
青少年課長: 今のは、18歳未満に販売した場合の罰則です。
Q: 区分陳列も同じですか。
青少年課長: 区分陳列については指導。
Q: で終わりですか。
青少年課長: 今の罰則の説明について訂正をさせていただきたいのですが、改善の勧告、それから改善命令、罰金30万円以下というのが、区分陳列に違反した場合です。それで、18歳未満への販売禁止に違反した場合は、罰金30万円以下というふうになってます。
Q: パンフレットか何かあったら、ちょっと頂きたいんですが。
青少年課長: はい。
Q: 審査に使うビデオなんですが、このビデオの中に収録されているシーンというのは全体の中でのどのくらいの割合が使われるんでしょうか。知事はご覧になりましたでしょうか。
A: 見ました。ゲームというのはどんどん進んで、言い方は悪いですけれども人を確実に殺していかないと最後まで到達できないわけです。ですから、そこがちょっと怖さでもあるんですけれども、主人公に自分がなってしまうんですね。ですから、ゲーム操作のうまい職員にゲームをやってもらって、それをビデオで撮ったものを私たちは見たということです。
Q: 何分くらい見たんですか。
A: 私が見たのは3本合わせて15分か20分ぐらいかな。
Q: そうすると一つの作品の中での限定された部分でしか判断できないという言い方ができると思うんですが、そこら辺はクリアできる・・・。
A: その辺も審議会の皆さんによく見ていただいてゲームの内容等も説明した上で、ご判断いただくと。ただ、最初の段階からどんどん人を殺していきますから、それがうまければうまいほど、たくさん殺していくという内容になってますので、この辺もエスカレートして問題性があるんのではないかと私たちはとらえています。
Q: 審議会で判断が出たらですね、すぐに効力を発揮するんですか、それとも途中で何か手続きがあって規制が始まるんでしょうか。
A: これは県の方ですぐにできるんですよね。
青少年課長: はい。答申をいただきますと事務手続き上、1週間から10日かかりますが、告示ということで公報に掲載した時点から指定という形になります。
Q: 議会の同意は必要ですか。
A: いや、必要はないですね。
Q: 当日の審議会は、通しで取材の方は可能なんでしょうか。
A: もちろん審議会ですから審議会で決めますけれども、原則公開という形になってます。
Q: これは、いわゆる戦争物というか、サバイバルゲーム物というかジャンルでいうと何・・・。暴力物といっても。
A: 暴力物という言い方はしないでしょうね、多分。
Q: 何ていうふうに。
A: ジャンル別というのはあるんですか。このゲームソフトの。
青少年課長: いろいろジャンルには分かれているかと思いますが。ジャンル別と言われると今ここではちょっとお答えは・・・。
Q: 例えば戦争を扱っているとか、犯罪を扱っているとか。
青少年課長: そういう細かなジャンルには分かれていません。
Q: というか、そのゲームはどういう・・・。
青少年課長: それは当日公開になってますので、ご覧いただければと思います。ただ、残虐性というか、現実的な観点からいって、この1本を諮問するということでご理解いただけたらと思います。
Q: 今回の諮問というのは1回目なんですか、今後もまた継続的に諮問していく場合には、今回の事例というのが一つの基準になるんでしょうか。
A: ですから、わいせつ物と違って、包括指定という形にはなってませんので、それはあくまでも審議会の皆さんにその都度のご判断を頂くということになると思います。
Q: 諮問する側としての判断基準なんですが。
A: そうですね、私たちは、生身の人間が生身の人間をどんどん殺していくというところはちょっとやり過ぎじゃないかなという判断をしてますので、今後そういうものが出てきたら、そういう議論をまたすることになると思いますね。
Q: これは、1週間か10 日ぐらいで効力を発揮してしまうんですけれども、そうするとですね、メーカー側の反論といいますか、弁論といいますか、そういう機会がないということをどうするのかということと、もう一つ、アメリカにソフトを輸入する時にですね、いろいろアメリカの基準に合わすために、日本のソフトをいろいろ加工してアメリカで販売しているとか、そういう現状があるんですけれども、そういう加工するとかする手間も与えないということに関してはいかがですか。
A: これは、生産を中止しろということじゃないんですね。例えば、区分陳列の対象になりますよとか、そういう規制ですから。ですから、そういう意味であまりにも問題があると県が判断して指定すると。それを一般の皆さんがまた見て、確かにその通りだと思うか、あるいはこんなのを規制されたら業界はたまったものじゃないよという意見も出てくると思いますが、私たちはこれを直接青少年が自由に買えるということは問題なので、そこはきちっと指定した方法でしか売れないようにすると。その上で、ある意味で、そのソフトをどう見るかというのを多くの方に見てもらって、さまざまな世論が形成されていくと思いますよね。今後の参考として、そういうものもきちっと見たいと思います。
Q: そのメーカー側のお話は特に聴かないということで。
A: 今回そういう形には聴いていません。
まー、なんつーか行政の「検閲では無い、青少年のために「区分」をお願いしているんだ。と言う検閲を正当化するときの常套句が最後に出ていて胸糞悪いのですが、
記者会見の段階でゲーム名を隠しておいて派手な式典で晒し者にしてやろうというあたりが、日本人のセンセーショナリズムを利用しているというか、恐怖心を異常に煽る感じがして、非常にファシスト的で素敵です。
後、包括指定自体「機械的な検閲」として非常に憲法上の問題の有る手法ですが、それを正当化するために「主幹が入るのはよくない」とするのはいかがなものでしょうかねぇ(;´Д`)
つまりは、政府や行政に都合の悪い情報から隔離して人間を「無菌培養」すれば、自分達の意のままに操作できる。と言う様な感じの、有害規制論者の言葉に秘められた悪意をこのやりとりでの松沢知事の言葉の端々から感じる訳で。
今から思えば、石原とのつながりが深い以上、法華教系の新興宗教*2からの組織票があったし、その筋との政治的な交流もあって、政策に非常に反映されているのでしょうが、
選挙直前に田島陽子なんてバカ女が出馬しなければ革新票が統一されて松沢氏は負けていた訳で、田島陽子を火あぶりにしたい気分です*3