月よお前が悪いから…のアーカイブ

http://d.hatena.ne.jp/artane/ がサーバの関係で消えるようなので、アーカイブします。基本更新しません。

松文館裁判:二審でも有罪ヽ(`ー´)ノ

まず、東京高裁で行われた今日の判決公判から判決趣旨。

http://yama-ben.cocolog-nifty.com/ooinikataru/2005/06/post_1028.html

主文:原判決を破棄する。被告人を罰金150万円に処する。

(第1震判決 懲役1年 執行猶予3年)

懲役刑から罰金刑に減刑されました。

憲法違反の論点)
刑法175条は、憲法21条に反しない。
仮に、知る権利を侵害する結果となっても知る権利を侵害しない。
憲法31条の明確性の原則に反しない。
「蜜室」のわいせつ性を警視庁が判断した過程に問題はない。

(刑法175条違反の判断について)
四畳半判決の基準は、文書だけではなく、絵にも適用できる。
わいせつの判断基準を変更するべき理由はない。
裁判所によるわいせつの基準となる社会通念の判断は規範的な判断であるが、その判断に際し、社会における性的な出版物の流通状況を考慮することは許される。

マンガの性的刺激は一般的には実写より弱い。しかしながら、本件マンガ本には具体的かつ詳細に性交性戯場面を描写しており、「わいせつ」である。

一定の思想や意識を読み取ることは困難であるから、性的刺激を緩和するようなものではない。
思想性・芸術性の判断要素について初めて判示した。

(故意の認識について)
警察における取調べの際の調書にしたがって、「わいせつ」性の認識を認めた。
警察における取調べの実情を反映していない判決である。

ゾーニングについて)
ビニール梱包、成年コミックとの表示をしていたことについては、一定の評価をしつつも、判断には影響しない。

(量刑について)
わいせつ性の程度も量刑要素として考慮すべき。
「蜜室」のわいせつ性は、実写表現と比べると弱い。

何というか、役人の面子のためだけに有罪にされた感じが否めませんね。
弁護側の主張をかなり認めつつわいせつ罪は違憲ではないと強弁しているように思います。
彼ら司法・行政が表現の自由や内面の自由という憲法でも最高位にある基本的人権の保証を侵してまで守りたい「秩序」とはなんなのか、誰のための秩序なのか、私は彼らに問い詰めたい。

後、この判決の画期的な所はゾーニングについて意味が無い*1と司法が認定した事です。
つまりはコンビニでシールで封印しようが本屋で「成年」マークを付けようが、わいせつなのはわいせつなのだから法的に意味が無い。と言う事を判例として残してくれた訳で。
規制反対論者にも少なくなかったゾーニング賛成論者の足元をすくう形で「有害」図書へのシール封印が事実上義務づけられ*2、そして多くの良質なエロ漫画雑誌やグラビア雑誌が「採算が取れな」くなって廃刊に追い込まれました。
今やコンビニのエロ雑誌コーナーにあるのはオヤジ系のエロ雑誌と昔のエロ劇画のプロットを萌え絵に置き換えただけのエロ漫画が大半を占めるという惨状です。
つまりは「悪貨が良貨を駆逐する」手助けを行政(と言うより石原・松沢・上田の首都圏三馬鹿トリオ)が行った訳です。
シールが破られてる雑誌もコンビニには多く見受けられるし、今の状況の方がよっぽど彼ら・規制派の言う所の「青少年に有害な」状況になってる訳です*3
子供達なんて興味があることはどうやってでも見ます。特に自分の体に密着したエロとかは一番見るでしょう。
彼らがそういう情報に接触する機会を潰すよりは、彼らが理性的な人づきあいを出来るようにして、成長に見合った恋愛をして、不本意な妊娠や性病感染を防ぐ手助けに力を入れる方が、我々「大人」の責任ではないかと思うのですが、どうなんでしょうかね?

*1:id:kitano:20050616 でも指摘されていますが

*2:首都圏知事会でコンビニ流通の元締めに電話で恫喝を行った結果だというのを報道したのは私が知る限り「サンデー毎日」だけなんですけど、何故?

*3:こういうのを、「自作自演」と言うのだよ、試験に出るからね:)