月よお前が悪いから…のアーカイブ

http://d.hatena.ne.jp/artane/ がサーバの関係で消えるようなので、アーカイブします。基本更新しません。

管理教育に過剰適応する子供達

北海道で、五年に一回高校生に自分のセックスに関するアンケートを取っていますが、その動きに変化があったというお話。

http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000000607190006


「性行為OK」が急減/高校生性意識調査

■ 教員有志、1000人調査――秩序求める傾向?

道内の高校生自身が許されると思う異性との交際は「セックスまで」が大きく減って「キスまで」が増えている――こんな調査結果を教員グループが生徒への調査結果としてまとめた。調査は75年から行われているが、「セックスまで」が極端に減ったのは初めて。原因分析はこれからだが、調査した教員グループは「一部の高校生で秩序を求める傾向が強まり、二極化が進んだのでは」と推定している。

社会科教員の有志グループ「北海道高校倫理・現代社会研究会石狩支部」が昨年9月に札幌市など道内30数校の2年生男女約千人に調査し、まとめた。75年から約5年おきに実施している定期調査で、生活上のさまざまな意識を尋ねている。

「高校生が許される異性との交際の範囲は」との質問には「会話を楽しむ」「キスまで」「セックスまで」など五つの選択肢がある。

「セックスまで」は01年に最高を記録した55%から今回41%に減った。75年の13%から前回まで多少の上下を繰り返しながら増え続けていた。

一方、「キスまで」は前回の18%が26%となった。「会話を楽しむ」(19%)、「手を握ったり腕を組んだり」(9%)は前回と大きな変化がなかった。

セックス容認派の減少について、調査結果を分析した道立北広島西高校の初谷宏教諭らは「バブルの時代に思春期前の幼少年期を過ごした高校生は欲望を肯定する傾向が強い。いまの高校生はバブル後に幼少年期を過ごし、一部に秩序を求める傾向が強まった可能性がある」と分析している。

んーと、最後に出ている教師の認識にはちょっと的外れな部分があるかな。と思います。
この状況にはもっと複雑な幾つかのファクターが絡んでいると思います。

  1. 1980年代後半から「中教審」に始まる教育への露骨な政治介入が行われるようになった
  2. その内容は道徳教育を重視するなど、非常に秩序を重視し、教師や子供達・特に子供達の内面の自由を否定的に捉える内容であった。例えば、
  • 勤務評定や初任者研修の導入により、教師に求められるのは教育スキルではなく、行政への忠実さが中心になった
  • 「日の丸・君が代」や「教育格差」と言う現在の教育問題に顕著に表れているが、子供達に対しても目上への忠実さを育成することとごく一部のエリートの抜擢が最も重要な教育目標になった。

つまりは、お上に従順な子供は優遇してやるが、それ以外の子供は切り捨てる。と言う行政・特に文科省の方針が露骨になってきた90年代に幼少期を過ごした子供達が、「望まれる子供像」に過剰適応を始めているのではないか、そして、適応が出来なくて「グレ」てしまう子供達とに二極分化を起こし始めているのではないかということです。

このような風潮が拡がることは、果たしていいことなのでしょうか?
自分の事を自分で考える事が出来ず、いつも目上の人の顔色を伺って判断する…こんなことでは白を黒と言わされたり、自分に責任が持てなくなったり、秩序に怯えて自分の幸福を犠牲にしてしまう…そんな人生を子供達に負わせる事が本当にいいことなのでしょうか?

今、子供達は目上=行政からあらゆる圧力をうけ、耐え切れない子供が出ています…昼間や夜間外に出ていてはいけない。夜遊びするな。エロ本買うな。酒・煙草のむな*1セックスやそれに類する行為はとにかくいけません。*2…今、おもいついただけでもこれだけの圧力がかかっているのです。

そういう中で、刺だった人間関係に耐え切れなくなってしまった子供達が増えて、「ひきこもり」や「荒れる成人式」などの社会問題を引き起こしているのではないか…私は非常に憂慮します。

*1:タバコに付いては止めるべきだと思うが、それは身体保護の問題であり、自己決定権の視点から敢えて加えている

*2:予期せぬ性行為や妊娠や病気から自己を守ることについては啓されてるどころか忌避する教育がされている