月よお前が悪いから…のアーカイブ

http://d.hatena.ne.jp/artane/ がサーバの関係で消えるようなので、アーカイブします。基本更新しません。

流石牧太郎、鋭い。

毎日新聞編集委員で元「サンデー毎日」編集長の牧太郎氏のエッセーより。
非常に興味深いというか、洞察眼に富んだコラムですので、一読推奨。

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060815k0000e010036000c.html

首相靖国参拝:権力のための道具か 専門編集委員牧太郎

テレビの朝ワイドに時間を合わせた15日の小泉さんの参拝を見て「私だったら靖国に参拝するより“真紀子大明神”にお参りするワ」と、知り合いのスナックのママが軽口をたたいた。そう言えば01年4月の自民党総裁選。田中真紀子さんが「私は変人の母でございます」と小泉さんを応援しなければ、多分、当選しなかった。真紀子さんは権力奪取の道具?だった。

その真紀子さんが、その年の夏「日本遺族会に公約したから靖国に参拝するんですか? 国益を損なう。考え直してください」と進言すると、首相は「公約だから行くのではない。公人だから行く。人に指図を受けない」と開き直った。

総裁選で特定郵便局長OBの会や建設業界を敵に回した小泉さんは終戦記念日靖国に参拝すれば日本遺族会はあなたを応援します」という言葉に動かされたのだろう。対立候補橋本龍太郎元首相が遺族会会長でありながら「中国から厳しいメッセージがある」と二の足を踏んでいた8・15参拝を「靖国」に縁が薄かった小泉さんが公約し、地方の党員票を獲得した。靖国」も権力奪取の道具?だった。

5年前の01年8月13日、首相就任後初の靖国神社参拝で、小泉さんは「他国に文句を言わせない」というプラスイメージを手に入れた。批判が出ると「中国、韓国の言い分はおかしい」の一点張りである。

古今東西、指導者は内政で失敗すれば、外交で国家の強硬姿勢を示す。農村に社会的・経済的不安が渦巻く中国は「靖国」で日本と対立することで国民の支持をつなぎ留める。靖国」は権力維持の道具にもなった。

「小泉さんも、中国も同じ穴のむじなね」と、おじいさんが靖国に眠るスナックのママは笑った。赤紙一枚で有無を言わさず戦地に送られ靖国で会おう!」と散って行った日本人は「英霊を利用するのもいいかげんにしろ!」と苦笑いしているのではないだろうか。

毎日新聞 2006年8月15日 10時58分 (最終更新時間 8月15日 13時02分)