月よお前が悪いから…のアーカイブ

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カトリックは異教徒との和解を捨てるのか?

教皇であったヨハネ・パウロ2世は異教徒・特にムスリムとの和解や世界的な戦争の停止や貧困を訴えつづけましたが*1、今の教皇であるベネディクト教皇は、そうでもないようでして…(;´Д`)

http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/europe/news/20060918k0000m030092000c.html

ローマ法王:聖戦批判で正式に謝罪表明 公の場の演説で

【ローマ海保真人】ローマ法王ベネディクト16世は17日、「聖戦」批判発言がイスラム社会の反発を招いている問題で初めて公の場で演説し、「一部の発言がイスラム教徒から侮辱的だと受け止められ、いくつかの国で反発があったことを非常に申し訳なく思う」と自ら謝罪した。法王は16日、法王庁バチカン)の声明を通じて遺憾の意を表明していたが、直接謝罪を求めるイスラム社会に配慮し、踏み込んだ謝罪の表現で応えた。

法王はローマ郊外カステル・ガンドルフォの離宮で営まれた「日曜祈りの儀」で信徒を前に演説し、冒頭、ドイツの大学で12日に行った演説に触れた。14世紀のビザンチン帝国皇帝がイスラム教の預言者ムハンマドを批判した言葉を引用した点について法王は「中世の原典からの引用であり、私の考えを表したものではない」と語った。演説は諸宗教・文化間の相互尊重に基づく誠実な対話を目指したものだったとして「真意を理解してほしい」と訴えた。

16日のバチカン声明にイスラム社会は必ずしも満足していなかった。エジプト最大のイスラム原理主義組織ムスリム同胞団のハビブ幹部は「法王は重大な過ちを犯したのであり、過ちは直接的な謝罪なくして除去されない」と語っていた。ロイター通信によると、ハビブ幹部は17日の法王演説を評価しつつも「明確な謝罪の水準に達していない」と不満を表明した。

バチカンと法王は法王自身の謝罪により、速やかな幕引きを期待しているが、パレスチナ自治区ではキリスト教会への放火が相次いでおり、キリスト教関係者の間ではイスラム社会の反発や不満が長引く事態を懸念する声も出ている。

■12日の法王発言の要旨は以下の通り。

ビザンチン帝国のマヌエル2世パレオロゴス皇帝が1391年にペルシャ人と交わした対話録を読んだ。その中で皇帝はジハード(聖戦)に言及していた。

皇帝は「(イスラム教の預言者ムハンマドが新しくもたらしたものを見せてみよ。彼が説く信仰を剣で広めたような邪悪と残酷さだけだ」と語った。

皇帝はなぜ暴力で信仰を広めることが非理性的かについて「暴力は神や精神の本質と相いれない」と説明した。さらに、「神は血を喜ばず、非理性的な行為は神の本質に反する。信仰は肉体ではなく、精神に宿るものだ。信仰に導くものは誰であれ、暴力や脅しによるのではなく、適切に論じることが求められる」とも語っている。

対話録の編集者は「ギリシャ哲学に通じた皇帝は理性的でない行為が神の本質に反することを強調している。だが、イスラム教は神が絶対的に超越した存在と説く。神の意思は我々の合理の範ちゅうさえをも超えている」と観察している。

毎日新聞 2006年9月17日 21時30分 (最終更新時間 9月18日 1時10分)

ベネディクト教皇ムスリムイスラム教徒の)の中で聖戦=「ジハード」と言う考え方が出来、成長していったかと言う歴史的な経緯に無知か、それとも敢えて無視しているようにしか思えません。

「ジハード」とは、ィエルサレムを巡ってのヨーロッパからの十字軍による侵略とイスラム側の攻防の中で出来て成長していった概念であり、イスラムは基本的には異教徒に対してカトリックユダヤ教よりは寛容である*2訳で、
その概念がイスラエルというファシスト国家がムスリムにとっても聖地であるィエルサレムを含む形でそこに定住していた人々を追い出すのみならず四回に渡る中東戦争などの中で軍事力を使って侵略的な形で領土を拡張し、そこに住むパレスチナの民を蹂躙したり、シリア・レバノンなどへの侵略行為を行いながら維持されて続けているという戦後史の中で復活した物であるのです。

そういう状況下での膠着状態の中では、アメリカがイラクに侵略し、事実上の無政府状態の中で「闘争の為の闘争」としてジハードと言う言葉が位置づけられ、無差別自爆攻撃が行われる状況やパレスチナイスラエル周辺で「過激派」が同じような状態に陥るのは歴史的・近代史的な必然ではないかと思うのですが。

この事から見えてくるベネディクト教皇像と言うのは、非常にイノセントでカトリックの外の世界について無知で無頓着な人間*3と言う感じになり、バチカンと言う欧米政治の中で特異的な権威である存在をまとめるには不的確な人物に見えるのですが…どうなんでしょうね?

*1:彼の実績で評価していないのは、AIDSを始めとする性感染症の世界的な蔓延とカトリック内部自体の性モラルの「崩壊から目を背けて、避妊=コンドームの使用を禁止することを強く押し進めていた事だけです

*2:勿論、宗派によって寛容さは全くちがい、排外的な宗派からどっちでもいいという宗派まで色々ある訳ですが…

*3:そういえば、ナチスに政治的に協力していたと言う疑惑がありましたが、どうなったんでしょうかね…