「アニメの殿堂」にタカるコンテンツブローカー
国立メディア芸術総合センター(仮称)=通称「アニメの殿堂」ですが、麻生内閣の「緊急経済対策」が実は霞ヶ関の役人と関連する業界の上の方が焼け肥るための予算ばかりで、要求額の算定根拠も経済効果もマトモに示されないままに請求されてそのまま通されようとしてる事の象徴的に扱われていて*1、予算執行止める止めないで大モメしていますが、こんな論文が8日付で日経IT+に載りました。
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMIT12000008062009「アニメの殿堂」ほど正しい予算の使い方はない
5月29日に14兆円規模の 2009年度補正予算が国会で成立したが、野党を中心に「無駄遣い」「バラマキ」批判が続いている。特に無駄遣いの象徴とされたのが事業費117億円の「アニメの殿堂」だが、見当違いも甚だしい。むしろ、無駄遣いとバラマキばかりの補正予算の中では数少ない真っ当な予算と評価すべきなのである。この問題を巡る政策論争と報道を見ていると、日本のクリエイティブ産業の将来は暗いと言わざるを得ない。(岸博幸)
(中略)
■文化は政府が保護・発展させるべき
アニメやマンガは単なる娯楽ではない。今や文化なのである。文化である以上、政府が維持・保護・発展に関与するのは当然である。ハリウッドの有名監督が来日して日本のアニメやマンガを堪能できる場所が本屋しかないというのは、国として恥ずかしいと思うべきである。
同じような過ちが過去の映画文化にもあったことを思い出してほしい。日本映画の巨匠である黒沢監督が不遇の時代、彼を応援していたのは日本人や日本政府ではなく、スピルバーグなどの外国人だったのである。そして、同じことがアニメの世界で起きている。優秀な人材はどんどんハリウッドに流出してしまう。アニメ映画で有名な米ピクサー・アニメーション・スタジオでは数十人の日本人が働いているそうである。
(中略)
しかし、今回の「アニメの殿堂」騒ぎを見て、改めて財務省が可哀想になってしまった。財務省は補正予算の総額を大きくしろという政治の要請と、知恵のない各省庁からの陳腐な予算要求の狭間で、短い時間の間にかなり不本意な予算査定を強いられたはずである。それだけでも気の毒だが、それに加え、補正予算批判の筆頭で正しい予算があげつらわれるのだから、踏んだり蹴ったりだろう。日本を悪くしているのは官僚だけではない。政治の貧困がそれを加速しているのである。[2009年6月8日]