月よお前が悪いから…のアーカイブ

http://d.hatena.ne.jp/artane/ がサーバの関係で消えるようなので、アーカイブします。基本更新しません。

辺野古への海自動員の続き:海保ではなく海自を送り込んだ政治側の「決意」は非常に強い。

以下、blog「dr.stoneflyの戯れ言」の5/10付けで随時更新されているエントリー、「『辺野古の戦い』…市民運動排除のため自衛隊投入!!?」 ( http://dr-stonefly.at.webry.info/200705/article_4.html )経由で知った、本日の東京新聞朝刊の記事。
まずは、記事を貼り付けます。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2007051702016730.html

普天間移設 事前調査 施設庁、海自に協力要請

2007年5月17日 朝刊

米軍普天間基地の移設工事に伴い実施される海域現況調査(事前調査)について、防衛施設庁防衛省を通じて海上自衛隊に協力を要請していたことが十六日、分かった。海自の掃海母艦「ぶんご」が既に十一日に横須賀基地を出航し、沖縄近海に進出。同艦乗員による潜水調査が、一両日中にも始まるとみられる。沖縄では調査への自衛隊関与に強い反発があり、地元と自衛隊の信頼関係が崩れる可能性が指摘されている。

「ぶんご」は久間章生防衛相の命令を受けて作業を開始する。艦長(二佐)のほか掃海隊群司令海将補)と複数の幕僚が乗艦しており、任務の重大性を裏付けている。

事前調査は普天間基地沖縄県名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部に移設するのに必要な環境影響評価(アセスメント)に先駆けて行われる。名護湾などの調査ポイントに、サンゴの産卵を調査するための着床板や水中ビデオカメラを設置する。

作業は防衛施設庁が業務委託した民間の調査会社が行うが、反対派住民らによる作業の妨害が予想される。このため、海自にも調査会社と同じ作業を行うよう要請した。「ぶんご」にはゴムボートや空気タンクがあり、海自潜水士による民間ダイバーとの共同作業が想定される。

自衛隊の活動は、民間企業の仕事を奪わないよう、自衛隊以外にできない作業であることを意味する「非代替性」が要件の一つとなっているが、防衛省は「運用にかかわることなので公表できない」と「ぶんご」の活動そのものを明らかにしていない。

海自関係者は「防衛相の命令に従うしかないが、自衛隊に民間業者のような環境調査の経験はない。海上保安庁が行う警備もできない」と戸惑いを隠さない。

沖縄の地元メディアは連日、「自衛隊投入」を伝え、仲井真弘多沖縄県知事は記者団に「何のためにくるのか分からない」と不快感をあらわにしている。

まず、この記事で明らかになった事を箇条書きにします

  1. 今回の「ぶんご」派遣は、防衛施設庁防衛省に依頼する形を取っている。*1
  2. 「ぶんご」には掃海隊群指令のみならず、複数の幕僚*2が乗船して今回の「任務」を指示・視察している
  3. 名目上の任務は、機雷掃海を担当している海自隊員のダイバーが防衛施設庁が下請け業者に依頼している潜水調査業務に「協力」する事の模様。しかし、具体的な任務内容は秘密事項とされて不明
  4. しかし、防衛施設庁の環境調査業務を下請け業者と海上自衛隊が共同で行うのは前例がない。
  5. 「ぶんご」のダイバーには、海上保安庁が行っているような「警備業務」(海上での警察行動)の経験はないはずである
  6. 海上自衛隊の現場も困惑している模様

ここからは幾つかの事からの推測を交えるしかないのですが、有り体に言えば、海上保安庁で足りるはずの「反対派排除」や掃海隊群のダイバーに経験のないはずの「環境調査」と言う業務を、わざわざ海上自衛隊のダイバー隊員を運用する船を出して行うと言う名目で辺野古に向かったのみならず、掃海部隊の最高司令官や複数の幕僚が乗船した形で行うということは、基地問題の「進展」を望む政府が直々に命令した、非常に重要度の高い軍事作戦であると考える方が妥当ではないかと思うのです。*3


あまり考えたくないことですが、「ぶんご」には通常の部隊以外に、軍事作戦=反対派の「排除」を目的とした、ダイビング資格を持つ実戦部隊*4が乗って、待機しているのではないか。

そして、行動する反対派を「ぶんご」に同乗した部隊が「敵」とみなして「排除」させる、謂わば「最悪のシナリオ」を防衛省ではなく、防衛省に指示を下す政府・内閣・総理大臣が決断したのではないか。

私は、日本のみならず、今まで諸国の軍隊がこのような状況の時に歴史的に担ってきたことを振り返れば振り返るほど*5、どうしてもそのような「最悪の」考えに陥ってしまう。「治安出動命令なしでの治安出動」が「ぶんご」派遣の本当の目的なのではないか。と。*6

この考えが杞憂に終わること、そして単なる妄想に過ぎないことを強く願います。

今、我々にできることは事態を把握し・国内のみならず世界に広めていくことや関係する省庁に抗議するなどすることによって、「最悪の事態」を回避させる努力を続けることだけなのかもしれない。
でも、我々は自分の現状の立場や状況で行える最善の事をやるしかない。

*1:しかし、防衛施設庁防衛省の下部組織にあたる事は忘れてはならない重要ポイントです

*2:海自のみかは記事からは不明、陸自や統合幕僚本部の幕僚が乗っている可能性を否定する要素がない

*3:ボートや潜水で「調査業務」を止めようとする反対派を拘束・連行するだけならば、海上保安庁の方が、遥かに経験を積んでおり、今回の業務には海保の方がどうみても適しているはずなのですが…字面だけ捉えていると非常に不可解な動きであります。

*4:陸上自衛隊にも潜水しながら「敵」が占拠した島などや海域に向かい、「敵」を「排除・殲滅」などするための訓練過程を積んだ隊員が西部方面普通科連隊 ( http://jda-clearing.jda.go.jp/hakusho_data/2002/column/frame/ak143005.htm )などに在籍していることは、この不可解な「任務」を読み取るひとつの「鍵」になりそうに思います

*5:最近の例ではイラク戦争後の駐留軍と現地レジスタンスの戦闘や中国各地・特にチベットやラサ、ネパール王国での反政府デモに対する武力鎮圧行動になるわけですが

*6: 追記:天木直人氏の見解が http://www.amakiblog.com/archives/2007/05/12/#000375 にありました。元レバノン大使など、外交に携わった経験からの考察であります。