■
もう一つ。これが最も現状に至る道を決定付けてると思いますが、GHQ占領体制下で、性というものが上から再定義されたと言う事があります。
昭和20〜30年代*1の新東宝などの青春映画を見ていると、非常に「清い交際」と言うのが強調されていて、恋愛と言っても性の生々しい匂いが全くしない。
こういう物が流布され、「正しい男女交際」とされたのは、旧帝国政府の求めた性道徳と言う物が武家社会のそれであって、庶民のそれが猥雑で下品だとされていた事の延長線上として起きたことでもあるのですが、それ以上に、当時のGHQがアメリカ社会を理想化して、「アメリカ化」を押し付ける政治的必要性があったからに他ならないと思います。
少し前まで、旧帝国政府の洗脳教育で「鬼畜米英」「打ちてし止まん」と見られていた占領軍が日本を安定化させるためには一つにはアメリカの「豊かさ」を誇示してアメリカ社会の正統性と日本社会の不当性を殊更に強調する必要が確かにあって、日本人は旧帝国政府に洗脳されてしまう*2程度には「お人好し」であったし、戦争と旧帝国政府の放蕩で疲弊しきっていた日本社会よりも「豊かな」「たべものがある」アメリカ社会を理想化してしまったのは日本人が「お人好し」であったからこそ成し得た所業でもあります。