何かにつけて建前だけで論じる非科学的な人々(後で加筆訂正するかも)
白燐弾問題に首を突っ込むのも気が引けた*1のですが、2004年イラクでの米軍、2006年のレバノンと今回・ガザでののイスラエル軍と言う順番で、白燐弾やクラスター爆弾を民間人を巻き添えにするのを厭わないどころか民間人もレジスタンスもクソミソにして、
攻撃対象のインフラ破壊と殲滅を専らの目的として破壊・殺傷するために使用している事が明白になっているにも関わらず、現在調達されている事が公表されてるこれらの兵器の表向きの用途だけを全面に出して米軍やイスラエル軍が、これらの兵器を使用した非人道的な攻撃はいっさいやっていない。かのような詭弁とミスリードを誘導し続けているとしか思えないブロガーや「軍事ジャーナリスト」が余りに多すぎる…つまりは米軍やイスラエル軍の非人道的な作戦を「なかったこと」にするために詭弁を詭弁で塗り固める事に拘りすぎて科学的な視点を自ら放棄してる、論客が日本の今のネットでは余りに多すぎるし、彼らが流布する大きな嘘が一般常識として定着する現状にはものすごく強烈な危機意識をもつしかないと思っています
2004年ファルージャ攻略戦以降、ずーと続いてる「白燐弾論争」と言うものを考えると、二つの立場に別れている。
- 現代の白燐弾は対人使用・特に焼夷弾として用いられる事はありえない。現用の白燐弾は対人使用を前提とした使用について仕様的に想定されていないからである。
- 白燐弾が焼夷弾目的や対人使用される事は多分にありうる(d:id:D_Amon 氏あたりが詳細に資料を追いかけている)
後者の白燐弾有害論については論考を省きますが(Disる必然もないし)、問題は「白燐弾無実論」とも言える前者の論調。
この前者論調の誤謬は、幾つかの考察の欠如と「米軍やイスラエル軍が非道をすることはありえない」的なイデオロギーが複合的に絡まった上での知的な思考停止に基づく部分も多くありますが、しかし、もう少し掘り下げて彼らの思考を考察すると、そこには
カタログスペックのみが全て、そこから外れた使用法や想定外の使用は絶対にありえない。と言う一種の知的な怠惰と技術論的な意味での思考力の致命的なまでの欠如という問題に行き着く訳です。
私はエンジニアとして色々な仕事をやってきましたが、最も気をつけて来たのは仕様書にも各工程での指示書にも出てこないような、「設計上ありえない不具合現象の解析と改善をどれだけ的確に行えるか」と言う、その一点にあります
いくら、仕様書や設計図が優れていても*2、実際の製品や商品にするための試作段階や量産後の段階では「ありえない」不具合が頻発します。
これは避けようがない。でも、その「ありえない」現象を直す為には、現象を子細に検討してどこの工程でのどの辺りに問題があるか・そしてそれがなんでそうなってしまうのかを見極めて改善する作業や思考が必須になります。
ここでは、仕様書の「建前」を逸脱した使われ方や作られ方は日常茶飯事で、それをどこまで減らせるかが問題になるし、その為には仕様決めのような屋台骨の部分ですら疑ってかかるのは普通の事です。。
そういう職業上の経験も踏まえて、今回の「白燐弾デマ騒動」を見ていると、
白燐弾報道がデマと主張する側はカタログスペックと軍が公式に出しているこそ全て。的な非科学的な思い込みを補強するためにのみ白燐使用兵器のカタログスペックの字面だけを強調し、自分に都合のいい資料だけを「真理」であるとしてあらゆる異論を押しつぶし、あらゆる可能性を封じようとするという知的な怠惰に拘泥しつづけている
ここに、彼らの欺瞞と知的な怠惰が蔓延していて、そういう論調に騙されている人の多さはなんとかならないか。と思います。
読者に科学的に物事を見る姿勢があるのならば、彼らの知的な欺瞞や怠惰という物を容易に見つけ出すことが出来るのですが…
で、今イスラエルが行ってることは非人道的な真似ではないのか?
結局は、ここに問題の核心は集約される。白燐弾が有罪か無実かというのは、枝葉に過ぎない。いいすぎであれば、軍が非道な事を行うツールとして象徴的であるに過ぎない。
追記:次項、http://d.hatena.ne.jp/artane/20090117#1232179275 に呼びかけがあります。長文読むのがかったるい方はお先にお読みください ^^;
イスラエルが非道な真似を行っているのは今に始まった事ではなく、1987年の第一次インティファーダがなんで起きたかを歴史的に追いかければ明白で*1、1967年にあった六日戦争でヨルダン川西岸地域とガザ地区をイスラエルが制圧してからこれまでずーっと続いてるイスラエルによるパレスチナ人差別とシリア・レバノンなどの周辺諸国へのテロルを中心とした内政干渉が存在している事からも明らかなように四十年以上の歳月、パレスチナの地でイスラエルは非道な真似を続けてる。
今回のガザ侵攻もハマスのロケット弾攻撃云々というのは言いがかりに近くて、そもそも2006年のパレスチナ自治政府の選挙で親米・親イスラエルのファタハが腐敗ぶりに愛想を尽かされてハマスを中心とする政府が出来るか出来ないかでずーっと揉めて内部の武力対立まで起きて来ていて、今回侵攻されたガザ地区では政治的にもハマスが主導権を取っていて、
反米・反イスラエルのハマスを倒して傀儡としてのファタハ政権を樹立したいイスラエルはこの間ハマス幹部の暗殺やらガザの武力封鎖やらを停戦協定を無視して継続し続けていたのでガザ民衆もそれを支持するハマスもブチ切れたので停戦期限が終わった後の非公式の和平交渉が破談に終わった後にロケット弾をイスラエルに撃ち込む事になってしまった。
それに対してイスラエル軍は*2多量の砲弾と爆弾で「報復」した。あくまでも「防衛である」として。
ここから見えてくるのは、既に多くの人が述べているけど、イスラエルがガザでやってることはナチスドイツがユダヤ人やジプシーや政治犯をゲットーに押し込めて隔離しても手に余ったので大虐殺で解決しようとしたのとまったく同じ事で、ナチスも最初ユダヤ人を第三国に追い出そうとしていたんだけど戦争の進展でにっちもさっちも行かなくなったので一向に言いなりにならずレジスタンスまで現れるようになったゲットーを持て余してあの、大虐殺に至ってしまった訳です。*3
現在、ガザやヨルダン川西岸地域のパレスチナ人が置かれてるのはレジスタンスが頻発した時期のナチスのゲットーであって、今起きているのは自治政府を持て余したイスラエル・アメリカによる大虐殺を伴うパレスチナ民衆への服従の強要ではないでしょうか?
故に、今回のガザ侵攻に対して非常に強い国際的な非難が起きている。
米軍にしてもイスラエル軍にしても「防衛」と称してヨソの国や土地に侵攻したり内政干渉を続けてきていて、目標を達成する為には手段を選ばない。*4今回のガザ虐殺でも2004年のファルージャ虐殺でもその論理はまったく変わっていないどころか強化されてるように見えなくもない。
この非道、人でなしの論理を是とするか非とするか。そこが、最大の問題です。
白燐弾を使ったかどうか、それ単体はこれに比べれば瑣末な問題です。
得手勝手な目的や理由で武力を圧倒的に持つ側が相手を無差別非道に手段を選ばず抹殺することの是非で、そこに白燐弾という「抜け道」が許容されて乱用されている事の非道さ自体を糾してる。
それを無視して、単純な兵器のスペック論議や「人道的な兵器などない」と言うメタ詭弁に持ち込む事は非常に、虚しい。
我々が出来ること、すべき事 -侵略と非道に金を出さない-
今こそ、我々はこの非道を推し進めるイスラエルと金も兵器も支援しているアメリカやイギリスの資本家に対して抗議を行うべきだと思います。要はイスラエルが侵略を改めない間、イスラエルを支援する企業や商品に金を出さない、買わない。
以下の企業が主なイスラエル支援企業です。
http://palestine-heiwa.org/choice/list.html
- Intel(インテル) インテルは、最も大きなイスラエル支援企業のひとつです。1999年、インテルはイスラエル政府によって略奪されたパレスチナ人の土地に工場を建設し、そこから大きな利益を得ています。インテルの工場が立つ al-Manshiyya 村では、300軒あった家が全て破壊され 2000人のパレスチナ人が追放されました
。
- Starbucks(スターバックス・コーヒー) スターバックスの会長ハワード・シュルツは、イスラエル軍がパレスチナのジェニン、ナブロス、ベツレヘムなどに侵攻し破壊と虐殺を欲しいままにしていた 2002年 4月、シアトルのシナゴーグにおいて、パレスチナ人を非難しイスラエルへの支持を訴えるスピーチを行い、観客からスタンディング・オベーションによる喝采を受けたとのことです。
- McDonald's Restaurant(マクドナルド) マクドナルド会長兼 CEO の Jack M. Greenberg は、シカゴのアメリカン・イスラエル商工会議所の名誉会長です。 マクドナルドは、 様々な活動や資金援助を通じてイスラエルを支援する " Jewish United Fund "(ユダヤ人基金) 及び、" Jewish Federation "(ユダヤ人協会)の主要な企業パートナーだとのことです。
- Coca-Cola(コカ・コーラ)コカ・コーラ社は、イスラエルに対する様々な形での援助に対して、イスラエル関連団体やイスラエル政府から表彰されています。またコカ・コーラ社は、イスラエル政府がパレスチナ人から略奪した土地に工場を建設する予定です。そこにはすでに、インテルの工場があります。建設予定地の al-Manshiyya 村では、イスラエル政府によって 300軒あった家が全て破壊され 2000人のパレスチナ人が追放されました。
などなど。(詳しくは引用元参照)
その他にも多くの多国籍企業がイスラエルに投資をし、イスラエルのパレスチナ人やアラブ人の労働や土地を収奪しています(例えばスィーティーなどのグレープフルーツの多くや幾つかの果物や野菜は果実も果汁もイスラエルから輸入されていますが、これらは原住民から略奪した水と土地で栽培されて、その栽培や収穫は非常に安い賃金で奴隷のように働かされているパレスチナ人やアラブ人の労働者によって支えられています)。
この現実から目を背けてはならない。我々が何気なく買っている品物が、イスラエルやアメリカの非道を推し進める刃にすり替えられている、この現実に。