月よお前が悪いから…のアーカイブ

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保坂展人氏は小選挙区ではなく参院全国区から出るべきだ

今回の選挙、民主党に喰われると言われていた社民・共産は辛うじて改選前の議席を維持できましたが、残念至極であったのはこの間児ポ法問題や郵政民営化問題で奮闘していた保坂展人氏(東京八区・社民党)の落選でした。

保坂さんお疲れ様でした、次こそは…


http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/b1e931242805e72631c5d701b3e48427

残念ながら国会の議席を継続出来ませんでした
政治 / 2009年08月31日


昨日の総選挙結果は、多くの皆さんから御支援を頂いたにもかかわらず、議席に及びませんでした。東京で最強と評されてきた相手候補を追撃して、11万 6723票まで支持を伸ばしたものの、なお逆風下で14万7514票を獲得した相手候補に、3万0792万票差で振り切られてしまい当選かないませんでした。また、「派遣の立場から社会を変える」と名乗りをあげた比例単独候補の池田一慶さんと共に、「保坂のぶとを国会へ」と社民党東京ブロック比例区では 29万9032票(4・3%)と1議席に到達することが出来ませんでした。地元杉並区をはじめ東京、全国で熱心に応援してくれた皆さんの努力にもかかわらず、国会の議席を獲得することが出来なかったことを大変に申し訳なく思います。

まだ、昨日までの熱気の余韻が残っていて、人と人がつながり、また力を合わせることの凄さと、その可能性を感じています。民主党国民新党生活者ネット、無所属などの立場で大きな連合の輪をつくり、選挙戦の後半は大車輪でぐんぐん運動を拡げることが出来たと候補者としては、とても手応えのある選挙でした。しかし、「議席獲得」という結果を出せなかったのは私の非力ゆえで、応援してくれた皆さんの熱意を形にして結晶させることが出来なかったのは悔しい限りです。また、明日以降に詳しく報告していきますが、大変な皆さんの御支援に感謝感激しつつ、本日は筆を置きます。

東京は既に「勝ち組」の街になってしまってる?

今回、保坂氏は小選挙区では自民党の石原のぶてる氏に三万強の票差で敗退、東京選挙区で社民党は比例第四位のみんなの党と比べて約12万票の差で議席を確保できなかった。

ここで、東京と南関東、そして社民が議席を確保した東北の比例代表制に絞って少し票の集まり方を分析してみようと思います。

東京選挙区(定数17)

得票数・議席数は http://mainichi.jp/select/seiji/09shuinsen/mai/kaihyo/hirei_blockk.php?bid=05 より

政党名 得票数 得票率(四捨五入%) 議席
自民党 1,764,696 25.5 5
公明党 717,199 10.4 2
みんなの党 419,903 6.06 1
民主党 2,839,081 41.0 8
国民新党 86,046 1.24 0
共産党 665,462 9.61 1
社民党 299,032 4.31 0
新党日本 100,381 1.45 0
幸福実現党 35,667 0.52 0
総計 6,927,467 - 17

議席あたりの所要投票数:407,498

南関東選挙区(定数22)

政党名 得票数 得票率(四捨五入%) 議席
自民党 2,233,560 26.0 6
公明党 862,427 10.0 2
みんなの党 605,358 7.04 1
民主党 3,695,159 43.0 11
国民新党 102,992 1.20 0
共産党 601,299 7.00 1
社民党 369,754 4.30 1
新党日本 79,792 0.928 0
幸福実現党 44,162 0.514 0
総計 8,594,503 - 22

議席あたりの所要投票数:390,659

東北選挙区(定数14)

政党名 得票数 得票率(四捨五入%) 議席
自民党 1,491,761 27.9 4
公明党 516,688 9.65 1
みんなの党 241,445 4.51 0
民主党 2,433,836 45.5 7
国民新党 - - -
共産党 315,201 5.89 1
社民党 316,635 5.92 1
新党日本 - - -
幸福実現党 36,295 0.690 0
総計 5,351,861 - 14

議席あたりの所要投票数:382,275

総計得票数と得票率は私の手計算で行ったので間違いがあるかもしれませんが、ここまで*1を見て見ると、多分惜敗率や重複立候補の関連で社民党議席を確保した南関東選挙区を例外として、

  1. 得票率が5%台の後半を上回らないと議席確保は厳しい
  2. 東京選挙区で一議席を確保する為には他の選挙区と較べて1〜2.5万票程度余計にとる必要がある

2.についてはこの比例代表制という制度が実は得票率に正比例して議席を割り振る訳ではない事と、東京に人口が集中し過ぎてる事に議席配分の改訂が追いついていない事の両方の影響が出ているのだと思いますが、それにしても(有効投票数ベースとはいえ)東京選挙区の定数が南関東選挙区と較べて人口のわりに少なすぎると思います。

*1:東京・南関東・東北の各選挙区

次に、自民党公明党みんなの党=改革派+保守派の得票率*1vs社民,共産で比較すると

選挙区 保守 民主 共産 社民
東京都 42.0 41.0 9.61 4.31
南関東 43.0 43.0 7.00 4.30
東北 42.0 45.5 5.89 5.92

d:id:1251689162 で提起した「東京は勝ち組の街になっている?」と言うのは間違いであった事がこの三つの選挙区のデータからはわかってきて、保守票については東京が意外と低いと言う事が見えてきますが、逆に突出している部分が見えてきます

*1:ここでは、民主党の得票率を外してみる

定数が少なすぎて革新の共食い現象が起きた東京選挙区

ここで、革新票(社民・共産)の得票率について比較してみます

- 東京 南関東 東北
得票率 13.9 11.3 11.8
獲得議席 1 2 2

惜敗率の問題があるにしても、東京が最も革新票の割合が多くなった事が如実に見えてきますが、しかし、その得票が共産党に偏った為に社民党議席を得られずに革新総体では東京が最も議席が得られないでいる事も同時に見えてきます。

この問題からは二つの問題が見えてきます。

  1. 不景気もあって首都圏・特に東京都への人口集中に選挙定数の見直しが追いついていない
  2. 現行の選挙制度小選挙区制だけではなく、少数意見を拾い上げる為にある筈の比例代表選挙制度も実は少数意見を拾い上げるようには機能していないので、小選挙区と同じく政党間の選挙協力が出来ていないと少数意見の割合が多くても票が分散して少数意見総体としては議席を減らしてしまう。

保坂前議員にとって元々無謀だった?東京選挙区

国会議員には二種類いるし、必要であると思っていて、

  1. 地元の意見や利害を重視して深く多く汲み上げた上で国家戦略を行う議員
  2. 地元の意見や利害よりも日本全体に広く存在する利害や意見・国家戦略を重視する議員

保坂前議員は明らかに後者で、そうであるが為に東京という人口は多いけど明らかに狭い・地域の多様性が狭くなりがちなために地域性に基づく利害*1と組織票が強くなる選挙地盤では元々不利だったように私には見えます。

そういう風に考えていくと、やはり、保坂さんは参院全国区かせめて東京以外の選挙区から出るべきであったのではないかと思います。
東京の・杉並の狭い利害に左右される上に共産党公明党・その他新宗教や大手労働組合の組織票によって椅子の住み分けがほぼ出来上がってしまってる=意外に浮動票の影響力が小さいと言う特性を考えると、無謀であったのかもしれない。と思います。

*1:要は、勝ち組の利害

提言:地盤に密着しない議員や少数意見の代表者のための選挙制度改革を

今の選挙制度は、少数意見を汲み上げないで勝馬にのる人に過度に有利に働いているという指摘がこの間されてきましたが、この数時間で軽く行った分析からもその片鱗が見えてきていると思います。

既に少なくない人たちが指摘していますが、日本の議員一人当たりの選挙民というのは実は連邦制を取っているアメリカを例外として、他の民主主義国家の中では突出して多くて(国民・有権者一人当たりの議員数が突出して少ない)、そうであるがためにちょっとでも「空気」から外れた意見は(組織票を例外として)代表者を持てなくなっていると思います。

つまりは、
今の議員定数が少なすぎるから国会議員や国政が地域への利益誘導偏重になりすぎている
側面があったのですが、そこを小泉内閣時代に強引に「ぶっ壊し」て都会ではない地域を国政の場からとことん突き放し破綻に追い込んだが為に、それまでの反動から民主党などの与党を確実に潰せそうな「勝馬」に票が殺到した
現状の国政も選挙制度も、都会の、それも「勝ち組」の利害を最大に反映するように非常に偏ったチューニングがされてしまっていると私は見ます。

都会も大事、勝ち組も大事。でも、日本の実体をささえてきているのは実は田舎だったり我々負け組だったりするし、その中で政治的少数者とされてきている人たちの意見が無視されている状況では、今後の創造的で大胆な局面転換が要求される混乱の時代を乗り切れない。

「改革派」と自称する人たちはあくまでも新自由主義であったり新保守主義であったりして、実は最も創造性から遠い人たち*1であって、彼らが創造性を政治に要求する人の一部を騙して票を掠め取っている「偽装CHANGE勢力」(C)植草先生である事を考えるまでもなく、少数派がその存在割合の分すら意見を反映できない社会に明日はないです。

今こそ、衆議院の定数増と少数意見が地域の利害や組織の利害と同じ程度には反映されるような抜本的な選挙制度改革が必要だと思います。と提言したいと思います。

*1:悪く言わなくてもポピュリスト