月よお前が悪いから…のアーカイブ

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取り急ぎ、神奈川県青少年保護育成改定案に対して出したパブコメを貼っておく

尚、この文章をコピペして改変して神奈川県などに送付しても、それは無効とされるばかりか知事に組織動員云々だったと開き直らせる口実を与える*1事にしかならないので、そのようなことはやめるように強くお願いします。
あくまでも、自分の言葉で意見を送ること。いくら拙く短くても、コピペ送るよりはずっとよい。

[参考]

*1:実際、禁煙強制条例=受動喫煙防止条例に対する批判や反論をJTの組織動員だと切って捨てた前歴が松沢知事にはある訳で

(2)社会環境の整備関係に関して。

「有害広告ビラ」なる概念が非常に問題があるのではないか?この条例を拡大解釈すれば風俗営業に限らず政治的な意見の入ったビラも有害にされかねない。
「有害玩具」に関して。この定義には、所謂アダルトショップでも販売されているコンドームやローションなどは入るのか?拡大解釈すれば入ってしまう。

既にHIVの蔓延が深刻になっており、他の性感染症の蔓延も深刻になってる現在において販売店の萎縮を招くような形を行政が強制するのではなく、広報や教育に力を入れるべきではないか?

犯罪の推奨とあるが、実話雑誌などの報道に触れる権利は子供にもある。北九州市のように暴力団寄りの報道を行ってる雑誌を禁書扱いしかねない。

本項は子供の人権・特に自己決定権と知る権利に全く配慮していない実態を改善するどころか悪化させているので、全面的に見直すべきだと思う。

(3)健全育成阻害行為の制限関係に関して。

この内容だとカラオケボックスが入るし、実際審議会の議事録を読むと対象にされているようであるが、明らかに行き過ぎではないか?
既にラブホテルなどへの規制が厳しくなっている現状でラブホテル代わりに使われてるカラオケボックスを対象に入れようというのだろうが、大多数の健全に使ってる青少年を締め出す結果になりかねず、明らかに本末転倒だ。
夜間外出に関しては、現条例の親や店舗に対して連帯責任を負わせる事で外出禁止を強制するという制度設計を更に深化させるものであり、このような制度設計は個人の自由を非常に制限しかねないという意味で憲法に抵触し、無効な内容ではないか?
全体として、基本的人権を侵害する内容を多く含んでおり、問題が多すぎる。
その上で、幼稚園児と小学生と中学生と高校生を一括して規制対象にするという現行条例を年齢で段階的に規制を緩めるなどの形で子供の自己決定権を保証できるように改訂するべきだ。

(4)インターネット環境の整備関係

まず、インターネットのフィルタリングは憲法で禁止されてる検閲や通信の秘密の侵害にあたるとする意見が根強くあり、現状では民間の自主的な取り組みであるということで何とか容認されている物であるという意見が何ら反映されていない事に強い危惧を感じる。
民間の努力・親の努力が見られないからと言って、これを事実上強制する方向性は明らかに憲法に違反しているし、子供の権利条約でもこのような形の強制はすべきではないと明記されている。

そもそも論的には、携帯フィルタリング自体が非常に歪であり、多くの政治的主張や表現が遮断されるという問題を既に抱えている。これは、いかなる理由があろうとも、知る権利を疎外しており、これを強制する事は、憲法で禁止された検閲行為を明文化するのと等価だ。

その上で、親がフィルタリングを拒否するにあたって、「選択式の書式で理由書を提出せよ」とし、その選択肢に子供の知る権利を尊重する旨の内容を設けていないのは親や子の良心の自由・内心の自由・知る権利を余りに軽視しすぎている。子供は奴隷ではない。そして、親も奴隷ではない。
本項の方向性は明らかに人格と人権を軽視している。

拒否にあたって理由書を提出せよというのなら、県の規定する理由以外に関しても承認するべきだ。

現行案は一児の親として、子供に向き合う事を禁止されているかのような嫌なものを感じる。
本項については全面削除を求める。

(5)関係者の協力関係に関して。

この条文自体は字面で見る限りは問題がないが、青少年指導員の人選に警察関係者の天下りが多数いないか?と言う問題がある。
人選に対して公平性と中立性を担保し、又、児童相談所や教育現場が上位に来るように明文化すべきである。

(1)総則、及び、(6)その他について。

現行の本条例は、明らかに憲法にも子供の権利条約にも抵触しているだけではなく、単一の価値観を県民に強制する要素が強く、非常に危ないものを感じる。
現行条例にも改正案にも知事側の意向が強く反映されているようであり、本条例=知事個人の価値観の強制。と言う側面が余りに強い。

そもそも、子供の権利や親の裁量に対して余りに不寛容である現行条例をより強化しよう。と言うのは子供が現代や未来を生き抜く力を押さえつけすぎており、健全育成と言う題目が余りに虚しく聞こえてしまう。

現行条例が県民を誰も幸せにしていない、却って余計な軋轢を起こさないための萎縮効果しか招いていないにも関わらず、その方向性を強化しようというのは余りにお粗末ではないか?

このような条例の中で子供が健全に育つという考え自体が、余りに子育ての現場も教育の現場も見ていない机上の空論・観念論ではないか?

(総論)

本条例の改定案に対しては、全く賛成できる所がない。
憲法子供の権利条約に最大限の配慮を示し、子供と大人の知る権利・自由権をより伸ばすような形に根本から制度設計しなおす必要がある。と結論する。