月よお前が悪いから…のアーカイブ

http://d.hatena.ne.jp/artane/ がサーバの関係で消えるようなので、アーカイブします。基本更新しません。

内閣府の人身取引対策行動計画が酷すぎるのパブコメ送ってみ

内閣府で策定してる明日、3日までパブコメを募集してる『「新たな人身取引対策行動計画(仮称)」(案)』が児童ポルノ法反対運動的にひどいというのでとりあえず、書いてみました。
詳細は、
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/jinsin/pub0911.html
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/jinsin/jin091119siryou1.pdf

(追記:http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20091202#1259688810 経由で知りました…d:id:kamayan さん、サンクスです)
続きは、http://d.hatena.ne.jp/artane/20091202#1259713106 にて(今日は二つ目三つ目の項目↓があります。20:01)
(さらに追記: 四本目。 http://d.hatena.ne.jp/artane/20091202#1259756163 21:16)

「新たな人身取引対策行動計画」 (案)パブコメとして出した物本文(原文ママ)

総論:
この行動計画(案)は憲法で定義されている基本的人権や市民的自由権に対
する配慮が無い上に新しい天下り利権を創設する物であり、現案の全面破棄
憲法及び万人の人権に最大限配慮する形での再策定を求めます。

各論:

II.(1) 項については、日本の入管政策が非常に厳格であり正規の労働者と
して入国したい人であっても入国が非常に困難で・なおかつ入国後に日本国
内に生活基盤を作り上げたにも関わらず強制退去にされる例が後を断たない
と言う非人道的な入管政策を強化する物となることを危惧する。この方針は
まったく是認できません。
特に「5.次世代IC旅券発給に向けた検討」については諸外国で既に導入が始
まっていますが、政治犯とされた人の交通を強く妨害するなどの人権侵害の
道具とされており、又旅券発行に関する天下り利権の拡大になるので、止め
るべきである。

II.(2) 項については、既に多くの人権侵害が指摘・告発され、国際的批判
が強い旧来の入管政策の強化でしかないため、撤回を求めます。
外国人労働者に対する入管規制の緩和と国内外国人労働者に対する永住権や
帰化基準の緩和こそが、人身売買ブローカーや不法労働を強要する雇用者の
動きを制限することになる。
度々報道もされる外国人労働者・研修生に対する超低賃金・超長時間労働
強要と言う事態の大半は、彼ら外国人労働者が「不法入国」などしている事
から雇用者が労働者の弱みを握ることとなり起こっている事をきちんと考慮
していただきたいです。

2.(1) 2,3 項についても、基本的人権や市民的自由権などの人権に対して
まったく配慮が見られません。
 特に3項の「児童の性的搾取に対する厳正な対処」については、諸外国で
対策が講じられてはいますが「児童ポルノ規制先進国」「性犯罪処罰先進
国」であるアメリカ・カナダにおいては処罰のエスカレートによって冤罪や
微罪で逮捕・起訴されて(広義の)市民権を剥奪される人が急増しているだ
けではなく表現の自由の多くが制約される事態となっており、著しい人権侵
害が認められています。

 又、児童ポルノなどやきわどいU-15アイドルビデオなどの実在する児童に
エロティックな姿態を取らせる作品などについては、
 ・出演している児童の親が経済的に困窮して「売り飛ばす」場合
 ・児童の家庭的な事情から家庭にいられなくなった児童が職を探した結果
  としてその手の作品に出演する場合
 ・そして表現活動の場合
 と三分されており、前者二つについては貧困問題の解決や家族の社会的
ケアによって激減させるべきであり、この文面は現状を直視していません。

 この事を考えると、アメリカ・カナダの後追いともとれ、不当に人権を
制限する本項については全面的な削除を求めます。

2.(2)項については、これが共謀罪の早期制定に発展する事を強く危惧
します。
 共謀罪を創設したい側の論理では国際協調が最も強調されており、この項
がその枠組みの中で出てきた物では無いかと疑わざるを得ません。

3.項については、人権侵害を受けている外国人労働者がその告発を躊躇する
最大の理由が「告発をすれば入管に見つかって収監・国外退去にされる」と
言う恐怖の念にある事を考えると、「違法入国者」に対する期限更新型の永
住権・市民権の付与や基準の大幅緩和なくして実行不可能です。
 外国人労働者の人権が大きく制約されている現状制度を変えることと
セットで行われるべきです。

3.(3)項については、特に工場労働者や建設労働者として外国人男性が劣悪な
条件で働かせれていることについても十分配慮を求めます。

3.(4) 2項の男性労働者の認知促進については、全労協系の個人加盟労組の
いくつかや野宿者支援団体、山谷などの寄せ場労働者の組合が1990年代前半
より大きく取り組んでおり、彼らと連携して早期の認知と対策が行えるよう
に施策を拡充する事を求めます。

3.(5)項については、日本に定住する意志のある者・特に子供をもうけてい
る人や結婚(もしくは事実婚)してしまっている人が容易に定住を選択で
きるようにする制度改正とセットにするべきです。

4.項については、憲法で保証されている基本的人権や諸外国での良心の自由
を侵害しないように最大限慎重に行うことを求めます。


4.(2) 3項については、排外意識を助長しかねない繊細な事柄であるので
慎重な施策を求めます。

以上。

(追記)本案の問題点

箇条書きで取り急ぎ
外国人労働者の人権への配慮が浅い。特に現状の入管政策の強化を謳う反面で労働者保護を言っても根本対策には程遠い。
・女性団体との連携を謳う一方でこの問題に長く取り組んできた労働組合や野宿者支援団体との連携はまったく触れられていない
児童ポルノ撲滅や旅券(パスポート)のICカード化、共謀罪を見越した捜査体制の強化など、外国人問題を口実とした治安強化に偏っていて、人権に対する配慮が非常に浅い。
他色々。


以下、パブコメとして送ったものの本文を貼っておきます。コピペしてパブコメに流用するのは厳禁。*1

*1:13:00 追記:コピペの使用は役人が強く嫌って、パブコメ意見自体を無効としてしまう傾向がどうやらあるので

速報:神奈川県で青少年育成条例を全面改定する模様

本日18:30からのtvk『知事定例会見』にて松沢成文神奈川県知事が話したところでは、「神奈川県青少年保護育成条例の改訂の考え方についてパブリックコメントを募集する」との事です。*1

この「パブリックコメント募集」「考え方」なる文書については、今現在神奈川県のWEBサイトには一切公示されていませんが、関係する神奈川県青少年問題協議会や神奈川県児童福祉審議会の議事録を見ると、東京都の条例改定案とは又違った部分で非常に管理統制を強めようとしている感じが伺えます。(続きは次項。)

パブリックコメント募集ページ:http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/kohokenmin/pub-com/index.html
※神奈川県青少年問題協議会: http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seisyonen/seimonkyo/index.html
※神奈川県青少年問題協議会 企画調整部会: http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seisyoなどへのnen/seimonkyo-bukai/index.html
※神奈川県児童福祉審議会 社会環境部会: http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seisyonen/jihukusin/bunkazai/index.htm

*1:県WEBサイトでの記者会見の公開は金曜以降

神奈川県青少年保護条例改訂の危険な方向性

この条例改定案と言うのは未だに方向性に関する文書すら公に出されていないため、青少年問題協議会や児童福祉審議会の議事録からどういう物であるのか推察するしか無い状況であるのですが、今公示されている最新の児童福祉協議会の議事録である9/2づけの議事録( http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seisyonen/jihukusin/bunkazai/kiroku/index21-9.htm )などを読む限りだと、以下のような内容が盛り込まれる模様です。

  1. 青少年の夜間外出の禁止について、現行の青少年のみでの外出に限らず、親などが同伴した場合であっても罰金*1を親に課す。
  2. ネットカフェやカラオケルームなどの個室を有する飲食店への青少年の立ち入りを禁ずる。
  3. 罰則の重罰化を主軸に置いた処罰バランスの見直し
  4. 行政処分の「効果的」な導入
  5. ネット閲覧時のフィルタリングの解除を行わないような保護者への啓発や理由書提出の準義務化を条文に盛り込む

特に問題になるのは、既に条例に盛り込まれている「青少年の夜間外出の禁止」及び、新規に盛り込まれるフィルタリングの準義務化ではないかと思います。

*1:刑事罰です!違反すれば前科持ち

まず、青少年の夜間外出の禁止について言うならば、従来の条文であっても厳密に言えば憲法違反ではないのか?親である立場からすれば、子供の選択の権利を不必要に侵すと同時に・その規制圧力を実効化する為に親に対して30万を上限とする罰金を課す。と言う制度自体が非常に強圧的に映る。


友達と少しばかり夜遊びするとして、それを叱るのは親の立場でありますが、しかしそれにきちんとした道理があるのならば叱らず褒めるのも親の立場。

その辺りを非常に紋切り型に処罰してしまうという時点で親の価値観や良心という物を一律に規制し、それぞれの家庭の事情を顧みない出鱈目なものである訳です。

その上で、今度は親が同伴していても食事やゲームセンター、カラオケなどに寄った時点で処罰の対象とする。との事。
これは非常に危険では無いでしょうか?

親族の急病や不幸で遅くなったのかもしれない・親が遅くまで仕事をやらなきゃいけなくて仕方なくそういう時間になったのかもしれない。

そのような個々の事情などお構いなしで通り一遍の規制基準を決めて、「違反したら罰金だぞ、前科持ちになるぞ」と親を恫喝し続ける。

不条理な現行条例に逆らって親が子連れでカラオケやゲームセンターに行った事でトラブルが起きてるので条例強化すべし。と言う県の言い分は明らかに本末転倒です。

既に社会環境部会の議事録でも「やりすぎではないか」と異論が噴出している訳ですが、県=松沢知事側はこの条例に対して非常に執着している。

フィルタリング=ネット検閲を推進したい神奈川県=松沢知事

もう一つの柱となっているネット検閲の準義務化については、論点自体は多くの先人たちが批判してるし私も批判しるのでここでは短くしか触れませんが、
フィルタリング自体が警察官僚が天下っているインターネットホットラインセンターが定めた内容を民間企業数社が寡占的に実行することで憲法に違反していない体裁を取るという「検閲ロンダリング」が行われており、
その内容も政治的なブログやWEBサイトを排除したり交流サイトを禁じたりなど非常に不公正だとしか言いようがない物になっている。

そういう中で子供を無菌状態に置くことが果たして問題を解決する方策になり得るのか?私には免疫力を削ぐだけの愚行にしか見えません。
親がフィルタリングに判断を預けて思考停止してる間に、子供は商業主義にぼったくられつつコミュニケーションを阻害されスキルが落とされる…これは青少年保護に名を借りた愚民化政策に他なら無いと思います。

ネット検閲は文科省右派が主導している?

http://d.hatena.ne.jp/kitano/20091120 以降に興味深い資料が貼られています。
北海道環境生活部生活局道民活動文化振興課による、「青少年を取り巻く有害環境対策の推進」なる文科省の委託事業に関する諸々の内部文書。

これら道庁内部文書の分析は十分にできていませんが、この内部文書を見る限りでは文科省北海道庁の間で、神奈川県や東京都の青少年保護育成条例改定案に酷似した内容の条例改正が行われつつある事が分かります。

つまりは、政府や与野党の右派は、憲法違反であると言う批判が続出して事実上の凍結状態にある青環法の法制定を棚上げする傍らで各都道府県に強く働きかけて同等の条例制定を行わせているのではないか。そういう疑惑が強く出てくる。

「地方からの要望」と言う中央主導の出来レース?

そう考えると、東京都が「児童ポルノ禁止法の規制強化を中央に要求する」としている事、それ自体が壮大な出来レースであるように私には見えてくる。
都道府県が同様の「要望」を国に上げる事によって後ろ盾を得て、児ポ法改悪を強行しようとしてるのではないか?
そしてその要望は、国の一部官僚が地方に要請や圧力をかけて行わせる。そういう出来レースが始まりつつあるのではないか。

事態は急を要しますが、警戒も要します。

メモ:神奈川県の右傾化のキーパーソン?北井宏昭県議

神奈川県青少年問題協議会のメンバーにいる北井宏昭県議(民主党)は「有害」ゲーム規制=GTA有害指定事件の時の旗振り役であり、松沢知事の懐刀であるようなのですが、この人は田中慶秋衆院議員の公設秘書出身で、この田中議員は統一協会の機関紙である「思想新聞」に名刺広告を出すほどの極右。
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20050806#1123352633
…松沢知事が国会議員時代に統一協会の会合に祝電を出していた事( http://d.hatena.ne.jp/artane/20090827 など参照)と重ね合わせると、神奈川県の・そして多分全国吹き荒れている「有害」規制・ネット規制などの管理統制の動きのバックに未だ根強く統一協会統一協会を回路とする人脈が蠢いて権力を維持してるのではないか…?

民主党政権の迷走ぶりと何か重なる気がしなくもない。