月よお前が悪いから…のアーカイブ

http://d.hatena.ne.jp/artane/ がサーバの関係で消えるようなので、アーカイブします。基本更新しません。

神奈川県青少年保護育成条例・施行規則案へのパブコメ(本日まで!)

と云う事で、やっとこさ神奈川県に提出したので、取り急ぎ貼っておきます。
施行規則案・条例改悪後の条文はこちらから↓
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seisyonen/jorei/kisoku-pubcom.html

パブコメは「2.意見提出方法」に従うこと。


但し、一部の条文に付いてしかチェックしてないので穴が沢山あるはずです。
又、この内容をコピペするようなマネはしないように。条文を読み解くときの参考やパブコメの雛形に留めること

青少年保護育成条例施行規則(案)第15条について


親による解除事由に付いて、親の裁量権が全く認められていないことに強い危惧を述べます。
(3)項で「(3) 保護者が当該青少年の携帯電話インターネット接続役務の利用状況を適切に把握する等により、 当該青少年がインターネット上の青少年有害情報の閲覧をすることがないようにすること。」とありますが、これ以外に親の裁量が認められていないことは、親の教育権を不当に侵害するものです。
 又、フィルタリングに於いては、多くの政治的/社会的主張や政治家・政党のWEBサイトが「有害」に指定されているのが現状で、主権者になる子供がテレビ・新聞・学校教育(=公式見解)以外での政治的主張や社会事件に関する見解・場合によっては冤罪被害を疑われる事件や住民問題のように現在進行形でなおかつ公式情報が片方に偏りがちな事象に対するもう片方の当事者側の見解を子供たちが十分に知り、考えることを出来なくされてしまいます。
(これらのサイトは「主張」項目でフィルタリングされてしまうことが多い)
 つまり、将来の主権者である子供たちの政治的・社会的リテラシー/思考力の成長を著しく阻害するフィルタリングの現状を一律に押し付けるものです。

 これらはそもそも論的にフィルタリングが憲法で禁止されてる検閲に該当するという憲法学上の指摘を棚上げするにしても、親と子供の良心の自由・思想の自由を著しく侵害するものであり、明確な憲法違反の基準だと考えます。

 したがって、
1.自由項目での解除を認める。親の個別事情や子供の成長と関心に合わせて親が親の教育的見地から認めるものであるならば却下しないように基準を定め直す。
2.年齢に応じたフィルタリング基準の緩和とフィルタリング基準の透明化、不特定の住民・県民の基準策定とフィルタリングの是非判断の参加システムの整備をフィルタリング企業に求め、それが実現するまで本項に該当する条例条文の施行を棚上げする
3.フィルタリング基準に対する、法的強制力と賠償責任義務を伴った不服申し立てシステムの基盤整備を神奈川県主導で行い、システムは透明化を前提とする。
 事を強く求めます。

青少年保護育成条例施行規則(案)第2条「 条例第9条第1項第1号に規定する規則で定める基準」、第3条「条例第10条第2項第1号及び第21条第1項に規定する規則で定めるもの」について

 有害興業の指定に付いてですが、この内容を字面通りに運用すると、過去に上映され今は「名画」と賞賛される多くの作品…例えば網走番外地であったりこの男、凶暴につき。であったり、ゴッドファーザーであったり、愛のコリーダであったり…が、丸々有害興業に指定されると思われますが、見解を求めます。

 これは第三条にも被りますが、芸術と専ら性欲や鬱憤のはけ口にするための作品との境界線を決めることは、現実には不可能です。
 衝動の発露…それが性欲であれ暴力であれ…が後の世で芸術や大衆芸能として賞賛されてきた歴史をひもとくならば、本条の基準は余りに歪んでるように見えます。
 多くの前衛的な芸術や衝動的なパフォーマンスが時の体制によって「ふしだら」「不潔」と排除され弾圧された歴史は、ナチスの「退廃芸術」やスターリン体制のソ連での体制に奉仕する芸術のみを芸術と定める芸術振興策を例に出すまでもないですが、
 このような興業へのガチガチの規制は文化振興策としての問題点が多くあり、かながわ発のイノベーションを大きく阻害する(神奈川県には多くのゲーム下請け制作会社やアニメーション制作下請けだけでなく、多くの漫画家や芸術家が存在している事に配慮してほしい)だけでなく、
 表現の自由言論の自由を定めた憲法21条に明らかに抵触しています。

 全面的な見直しを求めます。

(第三条に特有の問題)

 又、第三条の有害図書指定基準に「ぼかしなども含む」とありますが、これは国の定めるわいせつ基準をも大きく上回る広範囲なものです。
 このような規制に合法性があるのでしょうか?有害指定を行えばコンビニはおろか一般書店・ゲーム/DVD店ですら殆ど本を置かなくなるような非常に強い自主規制が流通段階で図られてることを考えれば、このような規制を行うことで事実上、猥褻罪に抵触しない表現であっても、表現の自由や出版の自由といった基本的人権を著しく制限されることになります。

 このような、過剰な基準の文言=「(陰部を覆い、ぼかし、又は塗りつぶしているものを含む。)」は除去すべきです。

青少年保護育成条例施行規則(案)第4条について、及び施行規則案についての総論

「間仕切り等により仕切られた場所で、かつ、内部を容易に見通すことができない措置がとられた場所に有害図書類を陳列すること。」とありますが、これだと(指定の区分陳列のスペースのない)一般書店やコンビニで販売規制を行ったとしても販売が出来ないことになります。
これでは、事実上の出版流通の禁止の権限を県が持ってしまうことになり、非常に強力な検閲の権限を県が持つことと等価です。

 多くの第三者組織による「自主規制」や私企業による「フィルタリング」が検閲であると指摘され、時折訴訟になりつつも「検閲でない」と司法が主張するのは政府及び自治体等の公的機関が直接検閲を指揮してない・流通を制限しないからであります。

 しかし、本規則はそれすらも逸脱し、明確な検閲であると指摘された場合に言い逃れする余地が全くありません。
 つまりは、この条例改正と施行規則案に関して施行規則案の2条〜4条をひとくくりで見た場合に違憲立法であるとして無効性を争う事態になった場合に耐えられる内容では既に無くなっています。

 15条なども含め、治安対策的な見地からされた条例改正と施行規則案と思われますが、このような過剰な施行はバランスを著しく欠いた物であるので全面的な見直しを行わないと憲法に対する合法性を確保できないと考えます。